『未来を斬り拓く対話と運命の翼』

□第6話 対話失敗
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宇宙

軌道エレベーター付近


マリナ「………」

マリナは中東使節団専用艇の窓からコロニー公社から解放された人々を乗せた人員輸送船を見下ろしていた。

マリナ「漸く話し合いが纏まり、市民達を祖国に帰す事が出来るのに……」

ELS来訪の件はマリナの耳にも届いており、更に地上の民間の施設でも一連の事態を観測しており、連邦政府は情報統制を布こうとしたが、高度に発達したネットワークの前にあえなく潰え、政府はELSの存在を認めた上で、『地球圏へ来る事はない』と報道したが、各メディアは挙ってELSに関する報道合戦を始め、市民達を大いに混乱させていた。

シーリン「マリナ。」
マリナ「シーリン、議会の様子は?」
シーリン「クラウスに聞いてみたけど、思った以上に紛糾しているみたいね。」

連邦議会はある意味では市民以上に混乱しており、紛糾に紛糾を重ね、ELSが地球圏到達コースから軌道を変える可能性という楽観論を唱える者や、強硬に軍備増強と主戦論を掲げる者もおり、更に感情的になって殴り合いを行う者や、現連邦大統領が進める、軍縮を含めた融和政策を批判する者までいるという有り様であった。
只、何れにせよ、連邦政府は市民達の生命を守る義務があり、その舵取りに世界は注目していた。

シーリン「楽観視したい人達の気持ちも理解出来るわ。木星から現れた異星体が地球を狙っているだなんて…

シーリンはマリナの隣に座りながらそう言った。

マリナ「……私達に出来る事をしましょう。」

マリナな何かを考え、そう言った。

シーリン「そうね。シェルターの整備に食料の備蓄、パニックの抑制…マリナ様の指導力、期待しているわ。」

マリナはシーリンの言葉に苦笑しつつも頷き、そして再び窓を見た。
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