『灰色の運命』
□第3話 天使再臨
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コロニーブラウド内部
ティエリア「4年ぶりか、ずいぶん雰囲気が変わった。」
刹那「そういうお前は何も変わっていない、あの頃のままだ。」
ティエリア「よく言われる。」
刹那「フッ、…このガンダムはCBなのか?」
刹那はセラヴィーとデスティニーを見ながらそう言った。
ティエリア「そうだ。…ああ、折角だから紹介しよう。CBの新たなガンダムマイスター、シン・アスカだ。」
シン「シン・アスカです。宜しく。」
刹那「ああ、宜しく。」
この時の刹那は、新たな仲間が増えた事に内心喜んだのか、少しだけ微笑んだ。
「刹那・F・セイエイ! 君はガンダムに乗っていたのか!?」
シン「!?」
シンは声のした方を向いた。
其処には自分と同い年ぐらいの男が刹那に向かって叫んでいた。
刹那「沙慈・クロスロード。」
沙慈「答えてくれ!」
刹那「ああ。」
沙慈「それじゃ、5年前から武力介入を!?」
刹那「ああ、していた。」
沙慈「わかっているのか!? 君達がやったことで多くの人が死んだんだ! 君たちがそうしたんだ!」
シン「……………」
沙慈「…君達のせいで僕の好きだった人は、傷付いて、家族や親戚を殺されて…僕の唯一の肉親だった姉さんも、CBに関わったばかりに、殺されてしまった。ルイスも、姉さんも、いなくなったんだ! くっ! 何とか言えよ! ぐっ!」
刹那「んっ。」
シン「あっ!?」
沙慈は刹那の懐から拳銃を奪い取った。
シン「せつ───えっ!?」
シンは刹那を守ろうと拳銃を取り出そうとしたが、ティエリアに制止された。
シン「ティエリア…?」
ティエリア「………………」
シン「………………」
シンはティエリアの無言の圧力で拳銃をしまい、刹那の顔を見た。
シン「(……あっ!)」
刹那の目には『撃たれることへの覚悟』が滲み出ていた。
シン「刹那…。」
シンは見守る事にした。
沙慈「言えよ!…返せ!! 返してくれ、二人を…返してくれよぉぉぉぉぉ!!!」
沙慈は拳銃の引き金を───
ガシャッ!
引かず、沙慈は拳銃を落とした。
沙慈「ぅぅぅぅ…! ああああああああああ…!!」
沙慈は膝と腕を地面に付いて泣いた。
刹那「沙慈…。」
刹那は拳銃を拾いながらそう呟いた。
シン「…で、あの人はどうするんだ?」
刹那「このままいてもカタロンとしてアロウズに殺される可能性がある。保護しよう。」
ティエリア「分かった。シンはエクシアを頼む。」
シン「ああ。」
シンはデスティニーに乗り、エクシアリペアを抱え、刹那は沙慈を連れてティエリアとセラヴィーでブラウドから離脱した。
刹那「新しい艦か。」
ティエリア「プトレマイオス2。武装を施したプトレマイオスの後継艦だ。」
刹那「そうか。」
ティエリア「そして、新たなガンダム、『ダブルオーガンダム』。これが刹那の新たなガンダムとなる。」
刹那「ダブルオーガンダム。」
セラヴィーとデスティニーはプトレマイオス2に帰艦した。
「よぉ、生きてたか。」
刹那「!? ラッセ! 生きてたのか!」
ラッセ「ま、何とかな。ん? コイツは?」
ラッセは沙慈を見てそう言った。
刹那「彼はアロウズに捕まっていた所を俺が保護した。」
ラッセ「って、事は巻き添えか。」
ティエリア「そうなる。後は僕がやる。刹那は休んでいろ。」
刹那「分かった。」
ティエリアは沙慈を連れ、刹那は自室に向かった。
シン「……………………」
シンは自室のベッドに寝転がり、ピンクの携帯を見ていた。
この携帯はシンの妹のマユの携帯であり、そして、遺産でもある。
この携帯はシンがこの世界に来た時にデスティニーのコクピットにあった。
シン「…刹那のあの目…あの覚悟の目は…やっぱり5年前の武力介入をしてなきゃ出来ないか…。そうなると俺も未だ未だだな。世界を変える覚悟を、罪を背負う覚悟を…。しかし、あの人の気持ちも分からなくはないな…、俺もあんな感じだったからな…。尤も、俺はあの引き金を引いた方だけどな。」
ピピッ
シン「ん? 通信?」
シンは携帯をしまい、通信を入れた。
刹那『シン・アスカ。』
シン「刹那? どうしたんだ?」
刹那「俺はこれから仲間を集めに行くが、シンはどうだ?」
シン「仲間を集めにって…、地球にか? 大丈夫なのか?」
刹那「問題ない。」
シン「…分かった、俺も行こう。小型艇で行くのか?」
刹那「そうだ。」
シン「じゃあ小型艇で待ち合わせよう。」
刹那「ああ。」
ピッ
シン「さてと、行くか。」
シンは自室から出て、小型艇のある格納庫に向かった。