『灰色の運命』

□第6話 戦う理由
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エンジン室


シン「えっと…、何で沙慈まで?」

シンは作業をしながらそう言った。

イアン「人数は多いに越したことはない。しかも宇宙技師の2種免持ってるんだろ?」
沙慈「あ、まあ…」
イアン「それにな、働かざるもの食うべからずってな。」
シン「うわっ、ひどっ。」
沙慈「わかりましたよ、えっと…」
イアン「イアンだ、イアン・ヴァスティ。」
沙慈「イアンさん、あなたはどうしてここにいるんですか?」
イアン「イヤという程、戦場を見てきて、戦争を無くしたいと思ったからだ。ここにいる連中も同じだ。戦場の最前線へ送られた者、軍に身体を改造された者、家族をテロで失った者、ゲリラに仕立て上げられた者、みんな戦争で大切なものを失ってる。世界にはそういう現実があるんだ。」
沙慈「でも…」
イアン「そうさ、ワシらは犯罪者だ。罰は受ける。戦争を無くしてからな。」
シン「……………」

シンはイアンの言葉に心を打たれた。

シン「(やっぱし皆それ相応の覚悟を持って戦っているのか…。俺にも持てるかな…、その覚悟…。)」
イアン「ホラ、さっさと作業しろ。飯抜きにするぞ。」
沙慈「あ…はい。」
シン「アンタ悪魔かよ。」
イアン「悪魔も何も、ワシは当然の事を言っているだけだが?」
シン「はいはい、そうですか。」
イアン「何だよ今の棒読み。」

シンとイアンのこんな会話が何分も続けられていた。
───が

ドドォオオオオオオン!!

沙慈「あっ! なんだ!」
イアン「敵襲!?」
シン「まさか待ち伏せ!? クッ!」

シンはそう言って格納庫に向かって走り出した。
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