G00D外伝 『義翼の鳥』

□第5話 無差別報復
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日本

病院


龍義は一時休隊し、ミユのお見舞いに来た。

龍義「○○○号室、此処か。」

龍義はミユのいる病室の前に来た。

龍義「ミユ…」

龍義は病室の中に入った。

ミユ「スゥ…スゥ…」

ミユは規則正しい寝息を立て、寝ていた。

龍義「……フッ」

龍義はそのミユの様子に微笑みを浮かべ、右手でミユの前髪を撫で上げた。

ミユ「ん…」

指先がミユの額に触れ、その冷たさにミユは目を覚ました。

ミユ「あ…龍兄…」
龍義「ああ。」
ミユ「あ…うう…っ!」

ミユは龍義を完全に確認したと同時に目から涙が溢れ出た。

ミユ「龍義ッ!!」

ミユは泣きながら龍義に抱き付いた。

ミユ「龍兄! 龍兄! 龍兄! 龍兄! 龍兄! 龍兄!」

ミユは号泣しながら龍義を連呼した。

龍義「…ミユ…」

龍義はミユを優しく抱き締めた。

ミユ「うう…っ! うううううう…!」
龍義「よしよし。」

龍義はしゃくりをあげるミユの背中を優しく撫でたり、頭を優しく撫でたりした。


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龍義「楽になったか?」

龍義はミユの頭を撫でながらそう言った。

ミユ「うん…」
龍義「そうか。」
ミユ「…あ! 龍兄…ごめんなさい…」
龍義「いいさ。俺だって軍人としての職務を果たそうとしてたさ。」
ミユ「えっ?」
龍義「ホント、グラハム・エーカー中尉には感謝するしかないな。」

龍義は窓の向こう側を見上げた。

コンコンッ

龍義「……ッ、はい。」

病室のドアを叩く音がし、龍義はそれに応え、ドアが開いた。

龍義「…ッ!? 斎藤博信(さいとう ひろのぶ)大佐!? 何故此処に?!」

龍義は斎藤博信という男に慌てて立ち上がり、敬礼した。

博信「いや、只の見舞いさ。」

そう言って博信は持っていた花束を花瓶に入れた。

博信「それにしても、久し振りだな、飛鳥少尉。」
龍義「…はい。」
博信「ああ、お前が軍に入って以来だな。」

斎藤博信とは、飛鳥大輝と玲真の同期の軍人であり、43歳という若さで国防軍の司令官を勤めており、ユニオン軍司令から、在日ユニオン軍に対して、ある程度の指揮権をも与えられている。
更に、先祖が旧日本軍や自衛隊の高官という、根っからの軍人の家系である。
因みに、ユニオン軍のMSパイロット上がりでもあり『かつての日本人の誇りをこのユニオンという超大国の中で少しでも取り戻す』という理由で、『日本人と日系人のみの部隊』を率いて前線で戦っていたが、ユニオンフラッグの『グラハム・マニューバ』の検証を自らの操縦で行った後、『この変形による機動は、一般のパイロットでは危険過ぎる』という報告をした後、国防軍の司令官に転向している。
乗機はリニアライフルに大型カーボンブレイドを取り付けたブレイドリニアライフルを装備したユニオンリアルド(後に日本製のリアルドに乗り換えている。)で、司令になってからもMSに乗る為に大型カーボンブレイドのみを受け継いだユニオンフラッグに乗り換えている。
因みにそのフラッグは上記の『グラハム・マニューバ』の検証時に乗っていたフラッグである。
今は司令官としての冷静さを持っているが、若い頃は有り余る体力と気力と情熱と熱血で前線に突撃していた事から、『アサルト・サン(突撃太陽)』という異名を持ち、MS隊の隊長になってからは、『互いは互いの刃となり、盾となる』という思想を得て、その突撃癖は少なくなったものの、体力と気力と情熱さは一向に衰えてはおらず、更に幾度も部隊ごと最前線に赴いても、戦闘で一度も部下を撃墜させていない事から、 『ガーディアン・サン(守護太陽)』とか『坂井三郎(ハルトマン)の再来』とか言われているが、本人的にはハルトマンより坂井三郎と言われた方が良かったりする。(だって日本人だもの。)
『アサルト・サン』時代の戦い方はえげつないの一言であり、戦闘開始早々、1機の敵機に接近し、リニアライフルの大型カーボンブレイドでその敵機を串刺しにし、その敵機を盾にしつつ、その状態からリニアライフルで他の敵機を撃つが、その命中率は99%以上を叩き出すという、これまたえげつないものだった。
だが、戦闘とは全く関係無い所で、部下であり、理解者でもあった大輝と真が事故死した時は部下や家族達の制止を振り切って号泣しながらヤケ酒三昧だという。
司令官としての冷静さや真面目さを持ちながらも、非常に高い情熱と熱血さを持ち、変な所でノリが良く、過去の戦歴からも手伝い、兵士達の信頼も厚い。
余談だが、博信の祖先の旧日本軍高官は、様々な海戦を渡り歩き、最期は戦艦大和と共に沈んでいったのだという。
その為か、旧日本軍の全ての軍艦の情報はある程度まで知っていたりする。

龍義「わざわざ有り難うございます。」
博信「何、ある程度の無茶は承知の上さ。」
ミユ「あっ…、博信おじさん…?」
博信「ああ、久し振りだな、ミユちゃん。」
ミユ「うん。何年振りなんだろう…?」
博信「何年って、4ヶ月位前に会っただろうに。」
ミユ「えへへ、そうだね。」
博信「何だ、意外と元気そうで良かった。ずっと引き摺っていたら直接ぶっ潰しに向かってたよ。」
龍義「…昔の司令でしたら可能な無謀ですね。」
博信「…まあ、今回は『世界の利害など関係無いとばかりに動く奴ら』に任せるとするけどな。」
龍義「それって…まさか…?」
博信「おっと、其処までにしときなベイビー。」
龍義「はいはい、分かりました。……しかし、何するつもりですか? ラ・イデンラの情報をネットにでも流すつもりですか?」
博信「ま、皆そのつもりみたいだけどな。」
龍義「やれやれ、利用出来るなら、正体不明の敵をも使うとはな…」
博信「世の中なんてそんなものばっかさ。…おっと、そろそろ戻るとするか。」
龍義「では、また何時か。」
博信「ああ。ミユちゃんもじゃあな。」
ミユ「さようなら、博信おじさん。」

博信は去った。

龍義「ミユ、もう大丈夫か?」
ミユ「うん、もう大丈夫みたい。ごめんなさい、心配かけさせて……」
龍義「良いさ、大丈夫ならなんの問題もないさ。」
ミユ「龍兄…」
龍義「そうだ、何かジュースを買ってやろう。何がいい?」
ミユ「じゃあリンゴジュース!」
龍義「そうか。」

龍義はリンゴジュースを買いに行った。
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