『未来を斬り拓く対話と運命の翼』

□第3話 木星からの使者
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アジア砂漠地帯


1台のジープが砂漠の中を走っていた。

「…本当に此処に探査船の破片が落ちたのか?」
「光見エタ、ホントヨ。」

不信そうに呟いた男───イケダに運転していた案内人は片言の日本語でそう言った。
かつてイケダは日本の報道機関JNNの特派員として中東諸国に派遣され、JNN退社後はカタロンに合流し、現在はフリージャーナリストとして世界中を飛び回っていた。

イケダ「政府は大気圏で全て燃え尽きたと公表していたが……」
「!! アソコ、アソコヨ!!」
イケダ「ッ!?」

案内人は嬉しそうに大声を上げた。
その先にはクレーターがあり、側には数台のトラックが停まっていた。
イケダはジープから降り、カメラのファインダー越しからクレーターの様子を見た。

イケダ「…軍の調査隊!?」

クレーターには防護服を着た軍の人間が探査船の破片を探していた。

イケダ「やはり探査船の破片か……こいつはスクープだ!」

そう言ってイケダはその様子をカメラが収めた。

イケダ「……ん?」

イケダは何やら様子の可笑しい場所を見付けた。
其処は数台のトラックが停まっていたが、その内の1台の周囲には数名の軍人がおり、その内の1人はトラックに上り、ドアを開けようとしており、もう1人は携帯で連絡を取っていた。

イケダ「…何だ?」

イケダはそれが只ならぬ事だと察し、撮影を続けた。
そして、トラックが動き出し、周りの軍人は全員トラックから退けた。
イケダはそのトラックの運転席にカメラを向けた。

イケダ「…!?」

イケダは戦慄した。
動き出しているトラックの運転席には『誰も乗っていないのだ』。

イケダ「どういう事だ…?」

異常な事態に理解が追い付けないイケダだった。
だが、この異常事態は『世界各地で起こっているのだ』。
ロシア某所、『無人の乗用車の暴走による交通事故』。
ワイハ、某ビーチ、『停泊していた港の片側のボード全ての中央部に巨大な穴が開いていた』。
AEU圏内、地下鉄、『無人電車による追突事故』。
人革領、某住宅地、ある女子高生が家に帰り、ドアの生体認識装置を押すが、無反応。
其処でドアノブに手を掛けた途端、『ドアノブに触れた手がドアノブに飲まれた』のだ。
女子高生は叫びながらも飲まれた手の皮膚を裂きながらドアノブから手を離し、皮膚を裂いた痛みで女子高生はその場に座り込んだ。
そして、ドアが開き、女子高生はドアの向こうに恐怖した。
『家の中は金属の結晶で覆い尽くされており』、更に『謎の宇宙服を着た青年が其処にいた』。
恐怖で身体が動かない女子高生に対し、『宇宙服の青年』は手を伸ばし───
後の調査で、女子高生の家は『跡形も無く消えており』、更に一部の者の証言では、『輸送機がこの辺りを飛行していたと言う』。
だが、この時輸送機どころか飛行機が『その住宅地周辺を飛行していたという情報は無く』、更に監視カメラが『宇宙服の青年』が女子高生を襲った直後に何故か破壊されており、謎の追及は不可能であった。
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