『未来を斬り拓く対話と運命の翼』

□第4話 復活の時
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「…チッ、逃げられたか!」

アヘッドのパイロットはひっくり返っている1台の乗用車に舌打ちをした。

「何処に逃げた?! 『もう1台の車』は何処に行った?! そんなに遠くには行けてない筈だ?! 探せッ!! そして殺せッ!! 絶対にこの基地をバラさせるなッ!!!」

アヘッドのパイロットはこの基地が見付かる恐怖と長い事潜伏していた事によるストレスによって激昂しており、周囲のジンクスVアロウズ仕様機とアヘッドに捜索と抹殺命令を下した。

「第2班と第3班は?!」
「何時でも良いだそうです。」
「分かった。直ぐに出撃───」

ドカァアアアアアアンッッ…!!!

「!!?」
「なっ…何だぁ?!」

基地から爆発が起きた。

「まっ…まさか…?! この基地が見付かっ……? あれは…?」

アヘッドのパイロットは爆発から出る影を見付けた。

「あ…アレは……『ガンダム』じゃないか…?!」
「誰だ? 誰が乗っている?」
「誰もアレを動かせなかったんじゃなかったのか?」

そう、アヘッドのパイロット達が見付けたのは格納庫の奥で眠っていた『羽付きのガンダム』だった。
誰も動かせなかった筈の羽付きが動き出しているという事実に混乱しているアヘッドのパイロット達を尻目に、羽付きは『左手に持つ』、『ジンクスWのGNショートライフル』を持ち上げ、その銃口から粒子ビームが放たれ、1機のジンクスVアロウズ仕様機が撃破された。

「ッ!!??」
「何ィ?!」

まさかの攻撃に一瞬思考が追い付かなくなり、もう1機のジンクスVアロウズ仕様機が撃破の時に正常に戻った。

「クッ…?! まさか強奪された?!…止めろ!! 奴を止めろ!! 操縦している奴の生死は問わん!! 早く止めろッ!!!」

アヘッドのパイロットの命令で他のMS達も一斉に羽付きを撃墜しようとそれぞれの得物で攻撃した。
だが、羽付きはGNシールドキャノン後部と背中のGNキャノンの基部にそれぞれ1基ずつ搭載しているGNドライヴ[Τ]からGN粒子を放出すると、華麗とも言える動きで攻撃を躱しつつ、アヘッド達に接近した。

「なっ…?! あ…当たらねぇ!?」
「もっと狙いを付けろ!」
「来るぞ!」
「ッ!!」

羽付きはGNショートライフルと右手に持つGNビームサーベルで次々とジンクスVアロウズ仕様機とアヘッドを撃破した。

「くっ…クソッ!!」
「このッ!!」
「!」

1機のジンクスVアロウズ仕様機が爆煙の中に入り、羽付きに正面から組み付いた。

「こいつで……ッ!?」

ジンクスVアロウズ仕様機のパイロットは羽付きのヒザアーマーが展開している事に気付いたが、その時にはもう手遅れだった。
羽付きのジンクスWのGNビームサーベルを収納している部分からGNマイクロミサイルが射出し、ジンクスVアロウズ仕様機は至近距離から射出したGNマイクロミサイルを躱せずに直撃を受け、腰部間接部から分断された。

「クッ…! ううううッ…!!」

アヘッドのパイロットは羽付きを憎しみを込めて睨み付けた。

ピピッ!

「!」

幾つもの粒子ビームが羽付きに襲い掛かった。

「来たのか!」

アヘッドのパイロットは増援に思わず笑みを浮かべた。

「このまま数で圧倒して……」

ピピッ!

『そ…『空飛ぶティエレンの部隊』が此方に来たぞ!!』
「そ…空飛ぶティエレン…?! ま…まさか、『ロシアの荒熊』の?!!」

アヘッドのパイロットは空飛ぶティエレンに『ロシアの荒熊』を連想した。

『だ…駄目だ! もう持ちこたえられな…ぐああああ…ジジッ…』
「クソッ!! どうして…どうしてこんな…ッ!!」

アヘッドのパイロットは羽付きを睨み付けた。
羽付きは増援の攻撃を躱していた。

ピピッ!

「ッ!!」

粒子ビームが次々と増援を撃墜していった。

「ティエレン…!!」

それはGNティエレン3の指揮官用試験機1機と一般用試験機3機の部隊だった。

「くそ……くそ、くそくそくそくそクソッ!!!! こんな筈じゃ…!! こんな筈じゃ!!!!」

アヘッドはGNビームサーベルを引き抜き、『GNショートビームキャノン』で羽付きに攻撃しながら接近した。

ピピッ!

「……フッ」

送られてきた通信にアヘッドのパイロットはほくそ笑みながら羽付きとの鍔迫り合いをした。

「今だ!!」

アヘッドが羽付きを蹴り飛ばした直後、GNシールドキャノンを両肩に装備したジンクスVアロウズ仕様機の砲撃が羽付きに直撃した。

「ッ!?」

だが、羽付きはGNシールドキャノンのGNフィールドを展開し、砲撃を防ぎ切った。

「なっ…?! バッ…!? クソッ…!! こんな…!! クソガッ!!!」

アヘッドはGNビームサーベルを振り回し、羽付きとの鍔迫り合いを再びした。

『何故……』
「ッ!?」
「何…?」

オープン回線で響いた声にティエレンV指揮官機のパイロット、セルゲイ・スミルノフは聞き覚えがあった。

『何故貴様らは戦う?!』
「クッ…?!」

羽付きとアヘッドは三度鍔迫り合いをした。

「何故戦うだと? アロウズの『正しさ』を世に知らせる為に戦っている!」
『正しさだと?』
「そうだ! 所詮、弱者などこの世界には必要など無い!!」

アヘッドは羽付きを再び蹴飛ばし、GNビームサーベルを振り上げた。

『ふざけるな! そんな下らない事をした所で、アロウズの正しさなど証明出来る訳がない!』
「何だと?!」
『そもそも、貴様らアロウズは、CBの量子コンピューターの生体端末の傀儡でしかない!』
「へっ…?!」

羽付きの操縦者から発せられた言葉にアヘッドのパイロットは思考を停止してしまった。

『終わりだ!!』

羽付きはアヘッドの右腕を切断し、GNショートライフルを捨て、切断した右手に持つGNビームサーベルを持った。

「クッ?!」

アヘッドは悪足掻きに残った左手に『GNショートビームサーベル』を持ち、四度鍔迫り合いをした。

『その機体…!』
「ん?」

羽付きの操縦者はそのアヘッドに憤りを感じていた。
何故なら、そのアヘッドは『近接戦闘型、サキガケ』であり、操縦者はそれに内なる怒りを露にした。

『これ以上、『あの人』を侮辱するな!!』

羽付きはGNキャノンでサキガケの左腕を破壊し、そして、羽付きのGNビームサーベルの一撃はサキガケのコクピットを直撃した。

『…平和を破壊する者に慈悲などありはしない……』

羽付きの操縦者はそう呟き、羽付きは地上に降りた。

セルゲイ「………」

GNティエレン3指揮官用試験も地上に降り、セルゲイはコクピットから出た。
そして、羽付きのコクピットも開いた。

セルゲイ「!」

コクピットから出たのは、2人の男女───龍義とミユだった。

龍義「セルゲイ・スミルノフ。」
セルゲイ「飛鳥龍義なのか? それにその少女は…?」
龍義「従妹の玲ミユだ。」
ミユ「あ…はい。玲のです。」
セルゲイ「何故あの羽付きに?」
龍義「『無人の車に追い掛けられた結果』だ。」
セルゲイ「無人の…? まさか探査船の…?」

セルゲイの言葉に龍義は大きく頷いた。

「『あげゃげゃげゃげゃげゃ』…! こいつは傑作だぜ! あのガンダムの性能なら、俺様は無敵だぜ! しかしなぁ…、まさか正規軍の特殊部隊がいるとなると、少々やりづらいなぁ…」
『どうするの? このまま引き返すの?』
「あげゃげゃげゃげゃ、まさか〜、この俺様が何もはいそうですかとノコノコ退却なんかしねぇよ。」
『そう。』

そして、『見ていた者』が動き出そうとしていた。
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