小宴会
□春はあけぼの。夏は
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彼女はかき氷が好きだった。
去年の冬、どうしても食べたいとか言ってオレにイチゴ味のを作らせてた。
そしてそれをすっげぇおいしそうに食べるんだよ。
いつからだったか、
オレは彼女の家に泊まりこむようになった。
彼女は毎日かき氷を作ってくれた。
味は決まって赤いのなんだけど。
それでも彼女が作ってくれたものだからオレはうれしい。
彼女は今かき氷の材料を獲りに行ってる。
あ、帰ってきた。
今日の氷はおっきいんだね。
持ち運ぶのが大変そうだ。
でも大丈夫。
機械には入るね。
放り込めばこっちのものさ。
ただちょっとうるさいね。
まあ固いからしょうがないか。
あと、周りに飛び散るから片付けが大変。
少し肉片が混ざっちゃってるけど。
少し生臭いけど。
彼女が作ってくれたものだから。
たとえそれが人間だったものだとしても。
氷じゃなくて骨だったとしても。
シロップじゃなくて血液だったとしても。
彼女が作ってくれたものなら。
助けて。
出られない。