小ネタ置き場

番外までいかない、思いついたネタを置く場所
◆no title 



どうやら1日で回復したらしい枢は、翌日いつもの様にロビーに現れた。
「お兄様、もう大丈夫なんですか?」
先にロビーに来ていた優姫が駆けより訊ねれば、枢は微笑んで頷いた。
「ああ、もう大丈夫だよ」
安心させるようなその笑みに、優姫も微笑み返す。
今日も仲の良い兄妹の様子を、夜間部生達も微笑ましげに見守る。

そして開かれる門。
いつもの様に普通科の生徒の歓声の中を進めば、風紀委員3人の姿が見えてくる。
その中の1人、ミルクティー色の髪を持った少女。
いつもであれば、その姿を見つけるなり早くなる枢の足は…昨日と同じく速度を変えない。
話し掛ける事も、立ち止まる事もなく通り過ぎ校舎へと向かう枢を、隣を歩く優姫は心配そうに見上げた。
「…お兄様?」
「なに、優姫?」
やはりまだ具合が悪いのかと問いかけようとするが、向けられた笑みになんでもないと答える。

「あれって…」
「期待、してるんじゃない?」
「……やっぱり?」

枢と優姫の後方を歩く3人――莉磨、支葵、一条は、その枢の様子を見てひそひそと会話を交わす。
枢の様子は普段と変わりがないように見えるが…その実、少し浮かれている様にも見えなくもない。
昨日と同様の事をすれば、また心配をした少女が気にするのではないかと…そう期待していると推測できる。
ちらりと少女の方を見れば、こちらも普段と変わりなく警備をしている。

「玻璃ちゃん…どうすると思う?」

少女がどんな行動を取るかと訊ねれば、どうもしない。との返事が莉磨と支葵、それぞれから返ってくる。

「昨日、もうしないって言ってたし…」
「簡単に騙されないと思う。…優姫様と違って」

淡々と語る2人に、そうだよね…と一条は溜め息を吐く。
(他の男にしたらどうするの?で、押し通そう…)
一晩かけて用意した言い訳が、どうか通用してくれと…祈らずにはいられなかった。

END

貧乏くじを引くのは大抵一条さんです。


2014/02/10(Mon) 23:31

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