小ネタ置き場

番外までいかない、思いついたネタを置く場所
◆no title 


本当に…くだらない。

発端となった出来事を思い出し、そのくだらなさに大きなため息を1つ。
まぁ、李土が前言を撤回したのは良しとしよう。
既に問題はすり替わっているのだが、李土がそれに気づくはずはない。

…瑠璃が何を厭い、憂えているのかなど、きっと李土は考えもしない。
だから表面的な事に捕らわれて、本質的な事に気づかない。
それは昔からで…諦めるフリにはもう慣れた。

「頭、あげないでね」

そう忠告を落としてから足をどける。
ようやく無くなった重みと痛みに、李土は反射的に起き上がろうとしたのかその身体がピクリと動いたがそれだけだった。
警戒を完全に解いたわけではないが、それに安心したのも事実。
少しは自分を気遣ってくれるらしい。
それだって昔に比べたら凄い進歩だと己の心を慰めながら距離をとる。
充分に距離を取ったところで「もういいわよ」と許可を与えれば、まるでバネじかけのオモチャの様に一瞬で起き上がった。
「……なに?」
じとり…と、責めるような、拗ねているような、そんな眼差しをこちらに向けてくる李土に不機嫌に問う。

「僕が洗ってあげたかったのに…」

返ってきた言葉は小さく、子供の様に拗ねて不機嫌になっている事を伺わせるが、その内容は子共らしくはない。

「……子供じゃないんだから1人で入れるわ」
「子供じゃないから一緒に入りたいんだろう!?」

半分呆れながら口にした言葉には間髪入れず言い返されてしまう。
その内容に、またも思考が止まる。
「僕が世話をしたいと思ったのはお前と…」
「…お前と?」
その先を言ったら殺す。そんな殺気を滲ませて問えばなんでもない…と視線を逸らされた。
それに、僅かに溜飲を下げる。
けれど湧いた怒りが消える事はない。
瑠璃が止めなければ出されたはずの名は聞きたくなかった。
別の場所、別の場面でなら気にならなかっただろう。
その名が李土の口から零れても。
それくらいは李土に愛されているのだと自信がついた。
その名の響きを気にせずに済むようになった。

しかし、やはり気分のいいものではない。

李土の中で彼女の存在は相も変わらず特別なのだと知らしめられるたび。
比較されるたび。
…一緒に扱われるたびに。

胸を占めるのは嫉妬に他ならない。

実際に口にされなくても、連想させる様な事を口にされるだけで嫌な気分になる。
彼女は大切な友人であるというのに。

李土のことになると、とたん狭量になる…。

END

今回やっと書きたかったセリフがでてきました。
もともとそれが書きたくて書き始めたのに…。
あと1つ書きたいセリフがあるので、次回かその次で終わる予定。


2014/09/20(Sat) 08:40

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