小ネタ置き場

番外までいかない、思いついたネタを置く場所
◆no title 

ジッと、睨みつける様にして李土を見ていれば、相手の方もチラチラと視線をこちらへと向けてくる。
まるで親の機嫌を伺う子供の様だと、そんな想像をしてしまえばおかしくて…少しだけ怒りが冷めた。

「李土…」

だから少しだけ優しい声で李土のことを呼んだ。
くだらぬ喧嘩はもう終わりにしようと。
そんな意味を込めた呼びかけを。

「瑠璃…」

…こんな時にだけ、自分の名を呼んでくる男を憎らしく思うがそれよりも嬉しいと思う気持ちの方が強い。
偶に呼ばれる名はまるで麻薬の様だ。
それがもたらす多幸感に酔い、はまってしまえば抜け出そうとも思えなくなる。
もっともっとと、際限なく次を求めるところなど特に。

自分から歩み寄る様な真似はしないが、李土の方から近寄ってくるのならば逃げはしない。
自然と優しくなる笑みに、李土の方も怒りが解けたと悟ったのだろう。まっすぐに瑠璃の方を向く。
そのまま視線を上から下へと滑らせ…。
得心がいったとばかりの満面の笑みで。

「ああ、僕は胸の大きさなど気にしないぞ」

そんな検討ハズレも甚だしい言葉を吐いた。

ピシリと固まる空気などお構いなしで、なんだかつらつらと「女は胸じゃない」とか言っているが、李土の相手は胸の大きな女性が多かった様に思う。…自分の知る限りは。
いまさらどの口でそんな事を言うのかと…笑顔を浮かべたまま、李土が口を開くたびに蓄積されていく怒りと殺意。

なんだかもう素手で触るのも嫌で…傾ぐ体を支える為に手をついたカウチ(2人掛け)。
ちょうどいいとばかりに投げつけた。

END

例によって長くなったのでもう1回!


2014/10/13(Mon) 22:48

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