小ネタ置き場

番外までいかない、思いついたネタを置く場所
◆no title 

「ぐはっ……!」

見事に命中したそれは李土を倒したあと上に乗り動きを封じる。
辺りに香る血の匂い。
まぁ、大したダメージではないだろう。これくらい。
父はもっと酷い目にあっていたけれど、直ぐに復活していた。
さすがに父ほどの回復力はなくとも、李土も純血種の1人だ。
死ぬほどのダメージになる事はない。

「いきなり何をする!」

予想に違わずカウチを跳ね除けて抗議してくる李土は元気だ。…頭から血が流れてはいるが。
傷は直ぐに塞がったのか、煩わしげに袖で血を拭う李土に言い返す。

「自分の胸に聞いてみなさい!」
「胸のことなら気にするなと…」
「今の今まで気にしてなかったわよ!」
「…という事は今は気にしてるんだな?」
「揚げ足を取る様なまね…」
「なら大丈夫だ、僕が大きくしてやる!」
「〜〜っっ!!」

いったいどう言えばこの男に理解してもらう事が出来るのだろうか?
何を言っても無駄な気がして言葉に詰まる。
けれど何かを言わなければこちらの気が済まない。

「よし、そうと決まればさっそく…」
「阿呆なの?馬鹿なの?なんでそんな話になるの?」

どこか下卑た笑みを浮かべ伸ばされた手を払いのけ、手近にあったテーブルで何度も殴りつける。
ぐえっ、だとか、ぎゃっ、だとか。
短い悲鳴と血飛沫を上げ続ける李土と、顔を真っ赤にし瞳を潤ませる瑠璃はテーブルから手を離す事はない。
異様な状況は数分に渡って続き、瑠璃がようやくテーブルから手を離したのは李土が動かなくなってからだ。

はぁはぁと肩で息をし、真っ赤に染まった李土を見てさすがに少しやり過ぎたかと…心配になるも直ぐに自業自得だと思い直す。

「……ばか」

小さく漏らした声は涙で震えている。
ぐずりと鼻を啜り、袖で乱暴に涙を拭くと部屋をでていく。
さすがに原型は留めて置くべきだろうとギリギリのところでかかったブレーキ。
だが、このままここにいたのではそれが外れる恐れがある。
…李土は父ではないのだから加減はしなくてはならない。
こうなって初めて父の偉大さがわかる。
同時に昔母が言っていた意味も…。

さて、1人部屋に取り残された李土だが…いくら純血種といえども容易く回復出来る傷ではなく。
血の匂いを嗅ぎつけた使用人たちがワラワラと集まってきて、無言で血に塗れたテーブルやら絨毯やらを片付けていく間。

隅に追いやられ片付けが終わった後も放置されたという…。

その後、続いた2人の攻防。
最終的に勝ったのがどちらだったのかは…。

ーー当人たちのみが知る。

END

ようやく終わりました。ながかった(ー ー;)
南風野の使用人は全員瑠璃の味方なので李土の扱いが雑。
ちなみに李土は新しく変えた絨毯が汚れないようビニールシートの上に転がされてました(笑)


2014/10/13(Mon) 22:48

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