小ネタ置き場

番外までいかない、思いついたネタを置く場所
◆no title 


「……………」

李土の言葉を途中で遮り、冷たく告げると瑠璃は1度閉じた本を広げ読み始める。
もはや李土の姿など見えなくなったかの様にその存在を無視する。

あれ?予想と違う…。

真っ白になった頭でそんな事をボンヤリと李土は思う。
本来であれば「別れよう」と告げた李土に瑠璃は嫌だと泣きつくか、それとも意地を張って「いいわよ…」と今にも泣きそうな表情で言うか…そのどちらかだと思ったのに。
「いや、瑠璃、最後まで…」
「聞きたくない。でてけ」
固まった思考をなんとか動かし、李土は軌道修正をしようとするも…やはり遮られてしまう。
しかも本から顔をあげもしない。
「瑠璃…」
縋る様な声に、瑠璃はただ無言でドアの方を指す。
それが意味する事など1つで…。
「瑠璃!僕が悪かった!」
「なにが?」
これは大変な事になると急いで謝るも瑠璃の声は平坦だ。
長年の経験から瑠璃の機嫌がそうとう悪い事を悟る。
このまま放置などしたら確実に追い出される…。
それは瑠璃と本当に離れてしまうという事で…それは避けるべき事態だと李土はプライドを捨てた。
「別れたいなんて嘘だ!」
「でてけ」
「だから嘘だと言っているだろう!どうして僕が瑠璃と別れたいと思うんだ!?」
「さあ?理由になんて興味ないわ」
「瑠璃は僕の事が好きではないのか!?もっと僕に対して興味を持て!」
「…だって李土が別れると決めたのなら理由が私に飽きたとか嫌いになったとか、もっと簡単に他に好きな人が出来たとか。
どんな理由で会っても覆る事は無いでしょう?」
だったら理由なんて知りたくないわ、と実に面倒そうに告げる瑠璃に李土の鼓動は逆に早まる。
それはもしかして…。
「理由を知れば…どんな理由でも八つ裂きにしたくなるもの」
…うん。
ちょっと背筋に冷たいものが走ったけれど…。

想われている事は確かだと。

感激で胸が熱くなった――…。

END



2015/04/01(Wed) 23:30

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