魔女の物語集
□ホーキンス2
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次の日、魔女が来て二日目。朝食のために食堂へやって来たみんなは驚きで一瞬固まってしまった。
「ヴヴヴ」
超大型犬くらいありそうな巨大猫が厨房の近くで寝ているのだ。
「で、でけー」
昨日も思ったが、この足が十二本ある猫は何なのだろうか。というか、背中が空洞になっているが生きる上でそれは問題ないのだろうか。
「・・・噛むかな」
「噛むってか、猫なら引っ掻くじゃね?」
「そ、そうか」
鳴き声はアレだし、体はでかいし、牙は鋭いしと、結構な条件が揃っているのだが、
「寝てるよな」
「ああ」
仲間に猫頭がいるくらいだ。みんな猫が好きだった。
それに、化け猫と言えどこんなに大きな猫は、なんというかロマンがある。
意を決して一人が手を出した。気配を消し、静かに近づいていく。
ドクンッ、ドクンッ
それを見守っている周囲も、真剣だった。
ドクンッ、ドクンッ
「ゴクッ」
唾を飲み込み、その大きな頭に触れた。フワッとした毛の感触に、顔が緩んでしまう。
「や、柔らけぇ!!」
そのまま撫でて顎の下へ手を入れれば、ゴロゴロという大きな喉を鳴らす音が聞こえてきた。うっすら目を開け、頬を擦り付けてあくびをする。
体や見た目はアレだが、基本的に普通の猫と変わらないらしい。
しばらくは大人しく撫でられて、体を起こして伸びをするともう一度あくびをし、箱座りをすると鳴き出した。
「ニャァァ、ニャァァオ」
「な、なんだ?」
「さぁ・・・?」
驚きながらも見ていれば、食堂の入口からホーキンスと魔女が入ってきた。
「ここにいたの!いらっしゃい、朝ごはんにしましょう」
「ニャァァオ」
「ふふ、良い匂いに誘われたのかしら」
笑っている魔女に近づき、スリスリと体を擦り付ける。
尻尾を立てて足や腰に絡められいる様は甘えている様だった。
魔女は下げていた革の鞄に手を入れると、鞄とは合わない大きさの皿を出して猫バスの前に置く。
「さぁ、どうぞ」
いつの間にか皿の中にはキャットフードが入っており、それを美味しそうに食べている猫バス。
朝ごはんを食べている猫バスの頭を撫でて、ホーキンスを見る。
「私も準備を手伝った方がいいかしら」
「いえ、もう時間です」
そんな話をしていると、厨房の扉が開いて中からコック達が大きな皿を持ってやって来た。