イヴのキセキ
□第一章
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―――プルルルル
「おっ!きっと五エ門ちゃんからだぜ!」
だが、次元の声は部屋に鳴り響いた電話のベルにかき消される。ルパンは次元の声に気付かず、電話の受話器を手にとった。
「はいはーい。こちら、ルパ〜ン三世。」
「・・・。」
「やっぱり五エ門からか〜。で、守備はどうよ?」
ふんふん、と五エ門の話を聞くルパンを、次元はぼんやりと眺める。あの、飄々とした声、余裕な笑顔。そして電話。次元は、あの時に交わした電話での会話を思いだしていた。
『こちら次元。おいルパン、聞こえるか?』
『こちらルパン。聞こえてるぜ次元。』
『お宝はゲット出来たのか?』
『あぁ、勿論。』
『そうか。じゃあ、例の場所で落ち合おう。』
『あぁ、じゃあまた後で―― ― − 。』
「・・・。」
「・・・い、おい、次元!」
「!」
あまりにもボーッとしていた次元は、ルパンに大声で名前を呼ばれ、我にかえる。ルパンはったく!と悪態を吐くと、準備は出来たか?と次元に問いかけた。
「あぁ。」
「そっか。んじゃまぁ、そろそろ出発としますかァ!」
「・・・あぁ。」
少し遅れて返事を返した次元は、懐に愛用の煙草を直し、立ち上がった。
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