イヴのキセキ
□プロローグ
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カチリ、と風からライターを守り煙草に火をつけた次元 大介は口から煙を吐いた。
白い息と共にもれる白い煙を吐いたせいでもはやどっちを吐いたのかわからない。だが、そんなことはお構いなしに、次元は黒が混ざった青色の空を見上げる。
ここはとある街の商店街。その中心にある巨大なクリスマスツリーの下に、次元は居た。お気に入りの煙草を吸い、時間を確認する。
「・・・五ェ門はまだか。」
思っていたより随分早く来てしまったようだ、と次元は息を吐く。トン、と後ろにあるクリスマスツリーに背中を預けると、今度は空ではなく周りを見渡した。
「おとうさーん、ぼく、あれほしいよー!」
「それはサンタクロースに頼むんだな。」
「えー!」
親子連れが目の前を歩いていく。そういえば今日は12月24日。いわゆる、クリスマスイヴと呼ばれる日だ。
「・・・もう、あれから3年経つのか。」
ルパンが、俺と五ェ門の目の前から消えた日から。
「・・・。」
フゥ、煙を吐く。次元は何時も煩いぐらい隣にいたルパンがいないことに少し、寂しさを抱いた。もう、3年経っていると言うのに。
しかし、それほどまでにルパンと言う男はひょうひょうとしていた。本当の自分を見せようとしなかった。それなのに人の心に自然と入ってくる。だからか、いきなり消えた3年前のあの事件から、ずっとルパンと言う存在が忘れられないのだ。
俺も、五ェ門も。
不二子も、とっつあんだって。
ルパンと関わった人間は、ルパンと言う存在を忘れない。忘れられない。
それほどまでに、ルパンと言う存在は心の中に存在していた。
なのに、3年前、ルパンは消えた。
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