イヴのキセキ
□第二章
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「ここにあるのかピーターパンのお宝は。」
「・・・そうだな。」
「んだよ次元!テンション低いなぁもう!」
誰のせいだよ。出そうになった言葉を呑み込む。やはり、来てしまったピーターパンのお宝がある建物。―――美術館。
ここは知っている。三年ぶりだ。三年前にここに来て、そして、ルパンが消えた場所。
思わず問い詰めたくなる。居なかったルパンが居るのだ。目の前に。―――三年前の姿で。
最近では見ることの出来なかった赤色のジャケット。猿顔の笑顔。自信に満ち溢れた強い瞳。天才的な頭脳に、細かい作業をやってのける指。
全てが、懐かしい。
「次元?」
「・・・なんでもねぇ。五エ門と合流すんだろ?ほら、行くぞルパン。」
「・・・。」
無言で俺を見てくるルパンの視線を無視し、俺は五エ門が待っている合流地点へと足を向けた。
「五エ門!」
「・・・次元、ルパン。」
合流地点となっている美術館の裏。そこには、美術館の仕事着を着た五エ門が立っていた。
「どんな感じだ?」
「先程電話した時よりも警備員の人数は増えたぞ。」
「とっつあんは?」
「妖精の粉の前で張り込んでいる。」
「とっつあんらしい。」
「・・・。」
繰り広げられる会話。それに参加しない次元。次元は目の前の光景ではなく、三年前の光景を思い浮かべていた。
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