†頂き物†
□幸せのノート
1ページ/3ページ
「あれ、兄さんこのノートは何?」
そう言われたので京介の方を見てみると、可愛い弟は一冊のノートを持っていた。
「あぁ、それか。それはまぁ…日記、みたいなものだよ。」
「日記?…見てもいい?」
「ふふっ、日記ってのは人に見せるものじゃないだろ?だから駄目。」
そう言うと京介は少し残念そうな顔をしたが、ノートをもとあった場所に置いてくれた。
「…京介、あれはね。幸せのノートなんだ。」
「幸せの、ノート…?」
「そう、幸せのノート。あのノートは、俺を幸せにしてくれるんだ。」
それだけじゃない。
「京介のこともね。」
「俺も…?」
京介は、不思議そうな顔をしている。それを見て、俺は微笑んだ。
「あのノートに何が書いてあるか知りたい?」
「…?き、聞いていいなら…。」
なら、よく聞いて。
「京介、君は愛されている。」
「……え?」
「俺や家族や友人たち。君は、世界に愛されている。どうかそれを、忘れないで。」
「…兄さん?」
「分かったかい?」
「う、うん…。」
頭に『?』を浮かべながらもうなずくその姿を見て、俺はまた微笑んだ。