悲劇のヒロインはもう止める
□第1Q
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春
それは別れと出会いの季節
ここ、“誠凜高校“では、新入生を部活に勧誘するため活気づいて居る
その間を誰にも気付かれず歩き続ける少年が居た
彼が真っ直ぐ向かうのは
“バスケットボール部“
時を同じく
1人の女子が人の少ない場所を探し、
勧誘に会わないように既に帰路について居た
彼女の制服もまた誠凜高校
『あ…』
ポツリと呟いた彼女の視線にはストリートのバスケコート
…
『(ちょっとなら…良いかな…)』
−side??−
帰り道 高校入って初めての道
僕のこの帰り道には一つ、ストリートのバスケコートがある。
そのコートは、昔1人の少女がキセキの世代に圧倒的な力を魅せたコート…
あの少女は中学2年の全中が終わった途端に姿を消した…
でも、何かが腑に落ちない…
あのバスケが大好きな少女が
自らバスケから離れるなんて有り得ない…
何か…あったんじゃないか?
考えを巡らせていると、いつの間にかあのストリートコートに着いたらしい
この場所は変わらない
トン…トン…トン…
「?」
誰か居るのか?
コートに居たのは誠凜の制服を纏った女生徒
自分と同じ一年生だろうか?
トン…トン…ト…ン…トントン…トン…
「!!」
あのドリブルは…
ダンッダンッダンッ
あのスピードは…
ヒュッ…
あの形のないフォームは…
『…』
「黒木朱里さん…」
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