腐女子高生・Middle&Seasonモノ置き場3

□腐女子高生と花嫁騒動?(完治の場合)
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「つーかさ、今更じゃない?
カンちゃんも兄君も、下手したら、あんたら全員、清い意味で純潔とは言えないでしょ?
むしろ、ヤオイのネタにはなるだろうけど、あたしが興味が有るのはソコだけだしね
わかったら、どいて、着替えるから」

野郎共を一刀両断して、斎はカーテンに手をかけた

「斎は言う事が違うね」

「いつでもヤオイを忘れないのは流石だよ」

ぱちぱち、女の子チームは手を叩いていた

言葉に詰まった完治は、必死に考えた

完治の一番痛い事は、今までの知られたくなかった事が、バレている事だ
カッコ付けても、墓穴を掘るだけになる
特に斎はバッサリ切って来る
カッコ付けただけ、倍になって斬撃が返ってくるのだ

下手に見栄を張るのは逆効果
可愛いと誉めても斎はキレるだけ

「斎ちゃん、しっかり捕まってて」

「へ?は?……ちょ、何晒すのよ!!」

完治は、斎を近くにあった台車に乗せる
そのまま、暴走馬車の様に被服室を脱走した

「のおおおぉぉぉぉぉっ!!」

斎の絶叫が、廊下の彼方に遠ざかる

「チー……あれ、目立つよね?」

「うん……目立つね、鈴花」

「一部にはネタとしてウケるよ?」

女の子チームの言に、被服部の少女がうんうん頷く

「でも、不知火ちゃんって、実はモテたんだね
女の子やオタク仲間以外に、器量良しな所は無いと思ってたんだけど」

「いや……それは……」

度重なる、斎の欄外な騒動に起因する
しかし、健人は説明するのは難しいと思った

「あ、もしかして、不知火ちゃんってば、お母さんだからかな?」

被服の少女は、何故か一人で納得して、野郎共を眺めてニヤニヤした

「ま、いっか♪
それより、女の子達♪
お写真撮りましょーね♪♪」

ハート乱舞な空気を振り撒いて、被服部の少女は、鈴花達を振り返るのだった





「ぎゃーっ!!シャレんなんないわよ!!
この暴走台車!!」

斎は必死で台車の持ち手にしがみつく

「もうちょっとだから我慢して!」

「ふざけんな!!
何よ、この羞恥プレイは!!」

目立つ事この上ないが、斎は我が身が可愛かった
落ちたら痛い、痛いのは嫌だ

着いた先は、講堂
文化祭で舞踏会をしたあの場所だ
完治が台車を停めると、斎は講堂の赤い絨毯の上に下りた

「何なの?こんなトコに連れてきて」

「……続きだよ」

「は?」

「舞踏会の時は、斎ちゃんは振り袖だったし、無理矢理躍らせたら、投げ飛ばされたから
だから、続き」

完治は、ニコッと笑う

「御手をどうぞ、お嬢様?」

恭しく手を差し出す完治を一瞥し、斎はそっぽを向いた

「……なんか、騙された気がするわね」

「え?」

きょとり、と、完治が斎を見つめる

「だって、カンちゃんは保健室とか、押し倒せる場所に行きそうじゃない?
まぁ、そうなったら、あたしも全力でカンちゃんを棺桶に沈めるわ
その用意はあったんだけど……」

斎は、一番ふわふわしている腰のところから、トンファーを出した

「ドレス着てても武装してたの?」

「備えあれば、よ
でも、カンちゃんがあたしに喧嘩売らずに、こういう一手を仕掛けるなんて、ある意味誤算よ
もちろん、イイ意味でね」

斎はトンファーを仕舞うと、無邪気に笑う

「純潔を云々言われた時には、顔面から床に沈めようかと思ったけど、撤回するわね♪
Toくらいは、見直した♪」

完治の手を、あっさり取って、斎は講堂の真ん中に進む
嬉しいような悲しいような……複雑な気分だった

全ては、過去、完治が自分で撒いた種だったから、自業自得だが、今日は少しだけ、斎が笑ってくれたから……

いい日って事にしとこっか





→あとがきという名の言い訳
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