腐女子高生・Middle&Seasonモノ置き場3

□腐女子高生の花嫁騒動?(康人の場合)
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色の付いた光りがゆらゆらと降り注ぐ
それは、女の子達の白いウエディングドレスを淡く色付ける光りだった

カメラの前で笑っている女の子達も、凄く綺麗で可愛い
だけど、何故か康人は斎を眺めていた
存在感はしっかりと有るのに、何故か……儚い気配
だけど……



「……綺麗……」



気が付くと、斎はビックリ顔で康人を見上げていた
ぬくぬく、と手に温かい感触がして、やっと斎の頬に触れている事に気付いた

「あ、いや、これは……えっと……」

無意識に斎に触れていた事に、自分でもビックリで、何故なのかどうしてなのか、さっぱり解らない

かぁっと、頬が熱くなる

可愛いとか、綺麗だとか、やっぱり斎が一番好きとか、消えたら嫌だなとか……
そんな事が頭の中で広がって、好きなのと、ちょっとだけ苦しいのと……もっと近くにいたくて……

「?弟君?女装したいなら止めないわよ?
むしろ、手伝うけど……」

どうも、斎は別の解釈をしたらしい
視線を感じると、健人がニヤニヤと康人を見ていた

斎の欄外な解釈は、今に始まったことじゃないが、自分に関しては変に構ってない所が有る

「いや、女装はちょっと……」

「そう?」

まぁいいかと、斎は再びステンドグラスを見上げた

万華鏡みたいに、光りを屈折させて、鏡越しに見たら、さぞかし綺麗な事だろう

頭の中で、色んな言葉が溢れかえっていて、良いフレーズが浮かぶのに、こんな時に限って、斎はメモ帳を持ってきていなかった

何たる失態……イライラもしたけど、ウキウキしたのとロケに出るってので、すっかり忘れるなんて……これじゃ、モノ書きとしてメモ癖付けてる意味ないわ、何か対策を……

「斎、こっち向いて?」

康人の声に、何気なく康人の方に振り返る
康人の手が、斎の頬を挟んで、じっと斎の瞳を見つめた





「やっぱり、綺麗だ……」





ぽつり、と康人が呟いた
斎は、我が耳を疑った

……今、弟君は、何て言ったのよ……

斎は、呆然と康人を見上げる

「あの、弟君?」

斎に言われて、我に返った康人は、慌てて手を離した
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