腐女子高生・Middle&Seasonモノ置き場3

□腐女子高生の花嫁騒動?(渚の場合)
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仕事のオファーが来た時、かりそめでも、渚の花嫁は斎以外に思い浮かばなかったのは内緒だ
だから、撮影スタッフにも、編集部にも、斎でいくと無理を通させてもらった
恵比寿女子で、ウエディングドレスに着替えた斎を見た時も、渚は自分の要望は間違っていなかったと確信した

撮影スタッフにも、仕事のスタートを知らせ、斎と渚は、幸せいっぱいの結婚前カップルを演じた

ドレスを選びに来たカップルを
スタッフと相談するカップルを
ドレスとタキシードでじゃれてるカップルを
チャペルで見つめ合うカップルを……

着替える度に、くるくると表情が変わる斎は、時に幼くて、時に大人びた顔を見せる
本人は、婚約に年齢は関係ないとか言っていたけれど……
斎にはずっと子供の頃、幸せ過ぎる結婚式を夢見た事が有るのかもしれない

だとしたら、今は現在進行形で物凄く皮肉で、矛盾しまくった現実だ

女性スタッフの提案で、色とりどりの花が咲き、噴水の流れる庭園で、撮影をする事になると、斎はまたまた着替えた

庭園で撮影がスタートすると、渚は斎の手を引いて歩く
今日で一番斎らしいドレスは、凄く似合っていた
渚は、今なら少しだけ、斎に夢を見せてあげたかった
現実の斎には足りない事は知っているけど、今は、現実の中の非現実な場所にいる
渚は斎に振り返り、演技ではない顔で微笑んだ

「幸せになって欲しいんだ
笑ってて、僕の隣で」

そう、今だけでも良いから
自分の存在が、愛の残骸だなんて思えないくらい
僕に斎がくれた沢山の気持ち、これからは伝えられるかな……

斎は僕の……





「世界で僕だけのお姫様」





瞬間、斎は赤くなり視線を彷徨わせた
そして、腰に手を当てて……頑張って叫ばなかった



「このわたくしを相手に、よう言うたの……
よい、後悔せぬのなら、わたくしと共に在る事を差し許す」



「……」

渚はきょとん、とした
まさか、こんな言葉が返って来るなんて思わなかった

しかも、なんか偉そうだ

たまらずに、渚は笑い出した
斎らしくて可愛い、本人に自覚は無いようだけど、斎は恥ずかしいくらいなら、最初から偉そうで高飛車に出る
渚が気付いている、おそらくは斎本人も知らない斎だ

「わ、笑うでない、この戯けが!」

だけど、おかげで、撮影現場は物凄く和やかになったのだった……





→あとがきという名の言い訳
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