JUMP短編

□君へ
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光「薮…!薮…!!」


電話を切って俺は急いで車に乗り込んだ。



大「薮くんが…倒れたんだ。」

光「は?なんだその冗談。まったく笑えないんだけど。」

大「冗談なんかじゃないんだよ!光のあとに薮くんが帰ろうとしたときに、いきなり薮くんが倒れて…」

光「何言ってんだよ…。俺が別れる前はあんなにも元気で笑ってたんだぞ!」

大「とにかく、急いで平成病院に来て!待ってるから!」





病院について薮の病室を聞き出し、病室に向かった。


病室の前では大ちゃんが椅子に座ってうつ向いていた。


光「大ちゃん!」


大ちゃんは顔をあげてすぐに駆け寄ってきた。


大「薮くん、この病室の中にいるって…。光、心の準備…できてる?」


俺は数秒して頷いた。


そして二人で病室に入り、カーテンがしてあるベッドに近づいたんだ。


ベッドを見たときに、信じられない光景が広がっていた。


ベッドには綺麗な寝顔で横たわっている薮。


そんな薮には呼吸器がつけられ、たくさんの管がつけられていた。


腕には点滴。


ベッドの横には一定のリズムで波打つ心電図。


薮が起きるような気配はまったくなかった。


大「薮くん…倒れる前、何かを楽しみにしてたみたいな顔をしてたんだ。すごく幸せそうな顔。」


なにを楽しみにしてたんだろう。


記念日のこと、楽しみにしてくれてたのかな?


わからねえよ。


早く起きて教えてくれよ…薮…。


大「それで…っ薮くん…!」


先「有岡さん。もう大丈夫ですよ。後は此方から説明します。…良いですか?」


光「あ、はい…。」


先「…薮さんが倒れたのは多分、ストレスからの症状かと思われます。きっと日々努力をしてたんでしょう。」


光「ストレス…。」


ストレスなんて…俺まったく知らなかった…。


先「ですが、原因はそれだけではないと思われるんです。」


光「原因はストレスの他に何かあると…?」


先「はい。この病院に薮さんが運ばれてきたとき、薮さんには吐血したような血が衣服についておりました。手にも。普通のストレスで起こる症状は貧血などです。少なくとも吐血などは起こりません。」


光「じゃあ…その原因は…?」


先「わかりません…。不明なんです。」


光「原因…不明…?」


先「…はい。薮さんはもう、二度と覚めることはないと思います。」






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