JUMP短編
□君へ
5ページ/7ページ
光side
今日はなぜか急に仕事がなくなった。
でも俺には好都合だ。
愛しの薮に会える時間が長くなるから。
俺はすぐに薮の病室に来た。
やっぱり薮は寝てる。
光「薮!今日の仕事なくなったんだぜ!だから今日はずっとここにいるからな!」
無反応。
やっぱり…さみしい。
光「薮ー…薮ちゃん…。」
起きない。それどころか無反応。
光「なんで…っ!なんで起きないんだよ…!薮…起きろよ薮!…ッ!」
気づいた時には俺は涙を流していた。
光「ダメだ…っ…薮の前では泣けない…ダメなんだ…。」
俺はすぐに涙を拭いて、薮の手を握った。
少しでも、目を開けてくれることを願って。
しばらく薮の手を握っていた。
時刻はもうお昼。
俺は昼食を買いに行こうと手を離そうとした。
その時、一瞬、薮の指が動いた。
確かに動いたんだ。
薮の感覚をまだ俺は覚えてる。
光「薮…?薮…。」
起きて、起きてくれよ薮。
薮「……ンッ…。」
薮の口から少し、声が漏れた。
そして数秒後、薮の目がゆっくりと開いていった。
光「薮…?薮?…薮!?」
薮が起きた!?←
薮「ひ…かる…?」
薮が喋りにくそうだったため、呼吸器をはずしてあげた。
薮「光…ひか、る…。」
光「薮…薮起きたんだね。良かった…!」
俺と薮は抱き合った。
薮は少し泣いていたけど、俺はちっとも泣かなかった。
だって、せっかく薮が起きたのに、そんな時まで涙を見せられないだろ?
光「あ、ナースコール!」
薮「え、ちょ、光!!ダメだよ!」
ナースコールを押そうとすると、薮にとめられた。
光「いや、でも伝えないと…。」
薮「内緒にしよ?大丈夫、俺はなんともない、大丈夫だから!」
そこまで言うなら…。
光「う〜ん…わかった!」
俺は伝えないことにした。
薮「ありがとっ♪…でも〜…なんか病室ってつまんないねえ。ベッドから見えるものは空しかないや。」
薮はつまらなさそうに口をあひる口みたいにした。
俺はその口に軽くキスをして言った。
光「じゃあ抜け出すか?」
薮の顔はだんだんと真っ赤になった。
やった。これが俺が見たかった薮。
可愛い可愛い薮。
・