family

□知らない
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あいりside


暖かい空気を感じ、目を開けた。


すると、眩しい光と見慣れた天井が目に入ってきた。


ここは…リビング。


この感触はソファーだと思う。


あれ?でも私…さっきまで河川敷にいたはずなのにな…。


慧「あっ!あいり、起きたよー。」


光「あいりー!!やっと起きたかー!」


宏「うるっせ。学生達が起きる。」


私の横では見慣れた風景。


いつもの賑やかさがあった。


雄「あいり、座る?」


『あ…うん…。』


痛い体を起こして座った。


そこで何人かの集団がリビングに突入してきた。


大「あいりー!!」


裕「やっと起きたんだねー!」


そしてなぜか突撃された。


宏「お…おま…!ばか!!」


宏太にいが自分の優しさを生かし、皆を私の上からどけた。


涼「はあ…起きてよかったー。起きなかったらどうしようかと思ったわー。」


龍「あいり、大丈夫?」


『うん、大丈夫…。』


少し頭が痛いけど。


一気にリビングが静かになった。


そんな中、どこからともなく宏太にいの声がリビング中に静かに広がった。


宏「あいり。」


真剣な顔つきで呼ばれ、私は何かいけないことを言われる、そう直感で思った。


『な…なに…?』


私も私で覚悟して、宏太にいに目をやった。














宏「・・・・その手首の包帯、なんなんだ…?」


『・・・・え・・?』


バレたー…。


咄嗟に嘘をつこうと、頭の中に出てきた言葉を必死に並べた。


『えっと…あの、美術の時間にカッター使ってたら切っちゃって…!』


なんとか騙せたかな、そう思ってた。


でもそう簡単にはいかなかった。


慧「それなら絆創膏でも貼っとけばいいだろ?なんでわざわざ包帯なんか?」


ごもっとも。


『そ…れは…ふ、深く切っちゃって…それで保健室に行ったら先生が大袈裟に包帯を巻いて…!』


これでもかという程の嘘を吐いた。


でも私は今まで皆に嘘をついたことがない。


つき始めたのはつい最近。


だからきっと嘘だってわかっちゃう。


侑「・・・嘘。あいり、ホントのこと言って?」


ほらすぐにバレた。


ホントのこと言ったら後悔するのは皆なのに。


私知らないよ?
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