family

□負けない
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『圭人にい?』


私の手首を掴んでいたのは圭人にいだった。


圭「どこ行くの?屋上?」


いきなり場所を当てられ、焦ってしまった。


そのせいですぐにバレてしまった。


大「授業…受けないのか?」


『うん。屋上に行きたいの。授業を受けるには私には辛すぎるや。』


なんて言っても5人には分からないか。


秘密だもんね。


涼「辛い?何かあったのか?」


『ううん、なんでもない!皆は先に教室に帰ってて?私は次の授業の時には戻るからさ。』


そんなの分かんないけど。


侑「でも…。僕達も屋上に…。」


『大丈夫。何も心配しないで?』


それだけ言って保健室を出た。


階段に足をかけて、一段ずつ上っていく。


二つ目の階段に差し掛かったとき、目の前にヒラヒラとした服の影が見えた。


瞬時に女子と分かり、顔を上げた。


見覚えのある顔。


何度も何度も憎んだ顔が並んでいた。


その中の一人がボソッと一言。


女「死ね。」


瞬間、真ん中にいた女子に方を押された。


軽く、手でトンッと。


私の体は一瞬、宙に浮いた。


そのとき、なぜかすごい恐怖心が沸いてきた。


ひとつ目の階段からは涼介達の聞きなれた声と足音が聞こえてきた。


今はそんなことどうだっていい。


それよりも落ちる、という恐怖心が勝った。


『きゃあぁぁぁぁぁあっ!!』


恐怖から叫び声が出た。


階段を転がり落ちてく私。


聞こえるのはあの5人の私を呼ぶ声。


大体は予想がつく。


女子達はきっと、悪いと思ってるどころか笑ってるに違いない。


私の意識は落ちてく途中で切れてしまった。














どこだろう、ここは。


真っ暗で寒くて、なぜか悲しく思う場所。


そんな中で暗闇の中、私はひたすらに足を進めていた。


特に目的があるわけでもなく、意味もない。


ましてやここがどこだか分からないし、どこに行けばいいか分からない。


少し歩いていると、果てしない暗闇の中から1つの素朴な茶色のドアが出てきた。


わけもわからず中に入ってみる。


そこはまるで鏡の世界のような場所だった。


上は赤く、夕日が照っているみたい。


だけど回りは銀色で包まれていた。


上の赤みが銀色でよりいっそう赤く見えた。


『ここは…どこ…?』


今ここで初めて声を出した。
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