family
□inイタリア
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少しして路地から出た。
皆とは反対方向に足を進め、来た道を戻るようにして進んでいった。
途中で時計を見ると、時刻は3時58分。
どう考えても遅れてしまう。
ここから広場まではざっと十分程度。
私は少しでも早く着くように足を早めて歩いた。
少しして広場に着いた。
噴水前に目をやると、こちらに手を降りながらにっこりしてる男性。
あの店員さん。
広場にある大きい時計を見ると、時計の針は4時10分を指していた。
私は小走りで男性に近づいた。
『す、すいません!遅れちゃって…!』
「いや、良いんですよ、来てくださったことが嬉しいので^^ ありがとうございます、わざわざ来ていただいて^^」
『い、いえ…。』
結構優しい人みたい。良かった…。
「とりあえず…自己紹介させてください。僕は中島健人と言います。よろしくお願いします^^」
『薮あいりです、よろしくお願いします…^^』
二人でお辞儀をして少しお話をした。
年は私と同じ。
あのお店でばバイトをしてたらしい。
私達はお互い、タメ口で話すようになった。
健「少し時間もあるし…どこか散歩でもしない?」
『あ、うん♪』
なぜかノリで返事をしてしまい、私達は歩き出した。
いろんな世間話をして街を歩いていると、前方に見覚えのありすぎる姿が10人見えた。
…宏太にい達だ…。
多分私を探してるんだろうな。
皆は浮かない顔で周りをキョロキョロと見ていた。
私の名前を呼んだりもしてる。
『どうしよう…宏太にい達…。』
健「あいりちゃんのお兄さん達?まさか…言ってきてないの?」
『うん…言ったら絶対行かせてくれないから…。』
健「そうだったんだね…。声掛けなくて良いの?」
どうしようか迷った。
声掛けたらきっと健人くんに何か悪い。
せっかく楽しい時間過ごしてたんだもん…声…掛けない方が良いよね…?
『うん…良いの。此処じゃすぐにバレるから場所変えても良いかな…?』
健「うん良いよ^^じゃあこっち。」
私は健人くんに手を引かれ、細い路地裏に行った。
路地裏に入る前に皆をチラっと見たら、まだ私の名前を呼びながら探してた。
私は複雑な気持ちで健人くんと路地裏に入った。
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