JUMP短編2

□バカみたいに
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…寂しい。


…暗い。


…会いたい。


…冷たい。


会いたいよ、裕翔ー…。


もうこんな状況が続いたのはいつからだろう?


いつの間にか裕翔が俺の前で笑わなくなって。


いつの間にか裕翔が俺の前で生きなくなって。


いつの間にか裕翔が俺の前で喋らなくなって。


いったい裕翔の存在はどこにある?


早く戻ってきてよ裕翔…俺の前に…。


またいつもみたいに俺を裕翔でいっぱいにしてよ。愛してよ。


こんなに想ってるんだよ?彼女が。


裕翔…俺は裕翔が戻ってくるまで切り続ける。


カッターを手首にあてて滑らす。


ただそれだけ。たった一瞬の出来事なのに赤い液が流れ出す。


バカみたいに切り続ける俺。


これは全部、君を想って…裕翔を想ってしてることなんだよ?


裕翔を想う分だけ俺の手首には次々と傷がついていく。


不覚にも綺麗と思ってしまうのは裕翔もだよね?


いや…裕翔自身が綺麗なんだね。


裕翔はいつだってすごく綺麗。


なんの汚れもなくて純粋で。


裕翔を表すなら…純粋な物質。


だってそうでしょ?人って所詮は物質。勝手に生きて勝手に死んでるバカみたいな物質。


でも裕翔はそんなバカみたいな物質なんかじゃないよ。


いつだって輝いてるからね、裕翔は。


俺は例えるなら不純物かな。


もう汚れきってるもんね、血で。


全身、汚れきってるもんね。


お風呂、入った方がいいのかな?じゃないと俺の体からは鉄の匂いしかしない。


でもお風呂…入りたくないな。


裕翔の温もりが消えてしまう。


そうだ、いい考えを思い付いた。


涼「ずっと裕翔の側に居れば良いんだ。だったら温もりなんて消えないよね。」


俺ってなんでこんなにも頭良いんだろ。


―――ナニヲシテイル?


涼「!?…誰だ!」


―――ジブンガシタコトガワカラナイノカ?


涼「俺は何もしていない!!」


―――ホントニソウイエルノカ?メノマエノゲンジツヲミテミロ。


涼「俺に現実なんていらない!!いるのは裕翔だけだ!!」


―――バカバカシイ。ソノユウトヲナクシタノハダレダ?


涼「うるさい!うるさいうるさいうるさいうるさい!!黙れ!!」


―――バカミタイダナ。


涼「黙れと言ってるだろ!」
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