JUMP短編2

□いらないさ
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宏「なんだここ…。」


暗くて…冷たくて…寒くて…悲しい場所。


辺りは真っ暗で何も見えない。


唯一見えるのが俺の体だけ。


伊野尾…は…?


―――イラナイサ


宏「え…誰…。」


暗闇の中で静かに聞こえた何かの声。


静かでも確かに聞こえた。


―――ナクシタネ、タイセツナモノ


宏「俺が…大切なものをなくした…?




バカばかしい。おかしなことを言うな。俺は何もなくしてないさ。」


大切なもの…ものじゃないけど伊野尾。


俺はずっと大切にしてきた。


なくしてるわけないじゃないか。


―――ナクシタヨ…?


宏「俺が何をなくしたって言うんだよ。」


―――オマエノタイセツナ


















―――イノオヲネ


宏「なくしてるわけがない。」


あるはずない、そんな嘘。


―――ショウコ、アゲル


寂しい空間にどこからか一冊のノートが俺の横にバサッと音をたてて落ちた。


そのノートを手に取ってみた。


長い間、使ってたらしい。


角はボロボロで、表紙も破けていた。


でも中のページは一枚も破けておらず、綺麗なままだった。


何かの文字を残して。


―――ヨンデミロ


わけもわからず、テキトーにページをめくる。


なんページか捲ってると俺の手は止まってしまった。


文がぎっしり書いてあるページ。


でもその中に、『死』の文字があった気がしたから。


最初から読んでみる。


―――――――――――――――――――腹立つ
―――
今日、いっぱい腹立つことがあった。
何気なく腹立つんじゃなくて、気持ち悪いくらいに腹立つ。

薮。
薮なんか嫌いだ。俺がせっかく好きと言ってあげてるのに軽くあしらう。
ホントは薮なんか好きじゃないのに。
俺が好きなのは雄也なのに。
薮なんてただのお遊びに過ぎない。
だけど薮は俺を好きだからせっかく好きって言ってあげた。
薮から告白されたとき、こいつマジかよと思った。
一番メンバーで大嫌いな薮。
俺の本命は雄也なのに。
でも雄也は俺じゃなくて龍太郎を選んだ。そりゃそうだよな。両思いだったし。
だけど俺はこんなにも好きだったのになんで俺だけを見てくれないんだ。
そう思って気づいたら雄也と龍太郎を殺してた。だけど龍太郎だけは燃やした。あいつだけ一人になればいい。
雄也は俺の部屋にいる。綺麗だな、雄也。
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