family

□ついに
1ページ/3ページ



その日の授業は終わり、放課後。


帰る支度をしていたら、5人が近寄ってきた。


涼「あいり、今日も一緒に帰らないのか?」


『あ、うん…。』


圭「なんで一緒に帰らないの?」


『ちょっと…いろいろあってさ。ごめんね。』


大「なああいり。」


会話をしていると、大貴にいが真剣な顔をして呼んできた。


『なに…?』


大「あいり、渡り廊下で…女子に蹴られてなかったか…?」


私はそこで言葉が詰まった。


あの場面を大貴にいに見られてたなんて。


大「なあ、あいり…?」


『ううん、蹴られてなんかないよっ?人違いだったんじゃないかな。』


大「でもあれは…女「あいり!ちょっとこっちきてー?」


『あ…う、うん!じゃあ皆、先に帰っててね…?』


なんだかとてつもない嫌な予感がする。


ホントは今すぐにでも早く帰りたい。


そのまま学校に来たくない。


でも、そんなことしたらきっと家まで来ちゃうよね。


侑「仕方ない…あいり、早く帰ってきてね?」


裕「ねえ、宏太にい達が校門の所に迎えに来てるよ?」


え・・・・?


窓から見える校門を見る。


すると、光にいが気付き、皆が気づいて手を振ってきた。


こんな姿を見ると涙が出てきそうになる。


私はとっさに窓から離れて鞄をとった。


『…ッ…皆…宏太にい達に遅れて帰るって言っといて。』


大「え?あ、おい!」


大貴にいの声が聞こえたけど無視してそのまま走って裏門から学校を出た。


ただひたすらに、学校から逃げるようにして走る。


着いた所は橋が架かった河川敷。


砂利のある場所で走る足をとめ、立ち止まった。


『はあ…はあ…っ…は…。』


ここがどこなのか全く分からない。


それでも良い。


学校から逃げることができたのなら、どんなとこだってどうでも良い。


しばらく、何も考えないでその場に立っていた。


すると、急に後ろで車のすごいブレーキの音が聞こえた。


振り返ってみると、黒いワゴン車。


中から5人くらいの男性が出てきた。


明らかこっちに進んできているようだった。


ゆっくり、でも確実に私の道を捕らえては喰いながら進んできていた。


5人の男性が私の前に立った。


男「お前…あいりか?」
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ