family
□本当の体
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次の日、少し遅く起きた私は出掛ける準備をしていた。
準備と言っても着替えたり、髪を櫛でとくだけなんだけど。
早く終わった私は家を出ようとした。
慧「あれ?あいり出掛けるの?」
私は肩を跳ね上がらせた。
『あ…う、うん。お昼はいらないって宏太にいに言っといてくれないかな?』
慧「分かったー。早く帰ってきてね?」
『うん。行ってきます。』
慧「行ってらっしゃい!」
少し足早に家を出た。
『危なかった…。』
そう呟きながら道を歩く。
本当は行きたくない場所に行く。
宏太にい達には知られたくない場所に。
…病院。
あんなことがあったんじゃ行かないわけにはいかない。
私は気を重くしながらも足を進めた。
今は病院に着いて診断を受けたところ。
少し不安な気持ちがした。
『あの…どうなんですかね…?』
先生は曇った表情をした。
先「薮さん…今から言うことを信じてください。」
この言葉で私は何かあったのかがすぐに分かった。
私は頷くだけした。
先「薮さんは…原因不明の病気です。」
医師から言われた言葉が重くのしこかる錘のように思えた。
『…え…?原因不明の…病気…ですか?』
先「はい。薮さんの病気が治る確率は…最高でも8%です。最低でも3%です。」
『そんな…!治すことはできないんですか⁉』
先「今の我々の技術ではなんとも…。アメリカの方に技術を持った医師がいますが…。その方に頼むには親族の方の同意が必要になるんです。」
親族の同意…宏太にい…。
ダメだ、それを言うとバレちゃう。
言えない…。
『いえ…頼みません…。ここで…ここでなんとかできないんでしょうか…。』
先「極めて異例なのでなんとも…。」
どん底に落とされた気分になった。
『そんな……っ!』
急に自分の呼吸が止まったかと思うと、心臓が潰されるような感覚が襲ってきて、私は倒れた。
先「薮さん⁉大丈夫ですか⁉」
『うぁ…っ…!は…!』
先「連絡…!」
『や…やめ…っ!やめて…!」
先「でも!」
『やめて、くださ…っ!』
先「わ、分かった…。お、おい!至急タンカの用意を!」
「は、はい!」
そのやりとりを聞いた後、私は意識を失った。