family

□本当の体
1ページ/2ページ



次の日、少し遅く起きた私は出掛ける準備をしていた。


準備と言っても着替えたり、髪を櫛でとくだけなんだけど。


早く終わった私は家を出ようとした。


慧「あれ?あいり出掛けるの?」


私は肩を跳ね上がらせた。


『あ…う、うん。お昼はいらないって宏太にいに言っといてくれないかな?』


慧「分かったー。早く帰ってきてね?」


『うん。行ってきます。』


慧「行ってらっしゃい!」


少し足早に家を出た。


『危なかった…。』


そう呟きながら道を歩く。


本当は行きたくない場所に行く。


宏太にい達には知られたくない場所に。


…病院。


あんなことがあったんじゃ行かないわけにはいかない。


私は気を重くしながらも足を進めた。



















今は病院に着いて診断を受けたところ。


少し不安な気持ちがした。


『あの…どうなんですかね…?』


先生は曇った表情をした。


先「薮さん…今から言うことを信じてください。」


この言葉で私は何かあったのかがすぐに分かった。


私は頷くだけした。


先「薮さんは…原因不明の病気です。」


医師から言われた言葉が重くのしこかる錘のように思えた。


『…え…?原因不明の…病気…ですか?』


先「はい。薮さんの病気が治る確率は…最高でも8%です。最低でも3%です。」


『そんな…!治すことはできないんですか⁉』


先「今の我々の技術ではなんとも…。アメリカの方に技術を持った医師がいますが…。その方に頼むには親族の方の同意が必要になるんです。」


親族の同意…宏太にい…。


ダメだ、それを言うとバレちゃう。


言えない…。


『いえ…頼みません…。ここで…ここでなんとかできないんでしょうか…。』


先「極めて異例なのでなんとも…。」


どん底に落とされた気分になった。


『そんな……っ!』


急に自分の呼吸が止まったかと思うと、心臓が潰されるような感覚が襲ってきて、私は倒れた。


先「薮さん⁉大丈夫ですか⁉」


『うぁ…っ…!は…!』


先「連絡…!」


『や…やめ…っ!やめて…!」


先「でも!」


『やめて、くださ…っ!』


先「わ、分かった…。お、おい!至急タンカの用意を!」


「は、はい!」


そのやりとりを聞いた後、私は意識を失った。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ