しょーと

□師匠と!!
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ぜぇ、ぜぇ、という俺の荒い呼吸。とは反対に師匠の息は全くと言って良いほど乱れて居なかった。いつまで立っても近づかない力量に苦い思いを感じる。そりゃあ俺だって師匠の実力は分かっているし、そんな簡単に師匠を抜かせるとも思っていないが。ようやく落ち着いてきた俺を見て師匠は「少し休むか」と言って腰を落とした。くそう。やはり余裕そうだ。どこから取り出したか知らないが飴を舐めてる師匠をみてーーふと思い出した。

「師匠、」
「あん?何だ喋る余裕があんなら」
「トリックオアトリート」

物騒な事を言い出しそうな師匠の言葉を慌てて遮た。ぽかんとしている師匠を見て内心くそ微笑む。案の定師匠の顔は疑問でいっぱいだった。

「なんだそりゃ」
「今日ってハロウィンっていう日なんですよ。」

とある国では、10月31日にお菓子を要求して、くれない場合にはイタズラをする・・・と、師匠に説明すれば、へぇ〜と他人事見たいにただ頷いている。自分に置かれている状況がわかっているのだろうか。そんな意味を込めて俺はもう一度師匠に言った。

「ということで師匠、トリックオアトリート。」
「あー・・・なぁるほどなぁ。」

「っつか師匠からものかっぱらうって何様だぁ?」と師匠は言って頭をぐりぐりと押された。い、痛いです師匠!!涙目になるもなんとかやめてもらった。うーんと唸る師匠。その間に俺はイタズラは何にしようかなーと考えていた。(ちなみにくれない事を前提としての事だ)そうしてもう一度、しつこいようだが言う。右手のおまけつきで。その後に諦めたような顔をしているであろう師匠をみーーーーたが、それはハズレてしまった。師匠は何かひらめいたような顔をして、そのまま俺の差し出された右手を掴んで思いっきり引き寄せて、って、

「え?」

唇に感じる温もり。気付いた時には師匠にキスされてて。慌てて顔を引こうにも師匠に左手でガッシリと頭を固定されてしまいどうしようも無くなる。そうしておろおろとしている間に口の中に何か入ってきて、ん?

「・・・あま、い。」
「ん、それでいーだろ?」

口の中にある固形じょうの物、そして広がる甘さ。これは、

「・・・あめ?」
「そ。」

こんな飴どこから、あ、そう言えばさっき師匠飴舐めてたな、とそこまで考えてとんでもない事に気がついてしまう。いや、考えなくてもわかることなんだが。かあぁ、と顔を赤くして口元を押さえる俺を見て師匠はニヤリ、と嫌な笑みを浮かべた。





師匠と!!


結局師匠の方が上手でした

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