しょーと
□白龍と!!
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なんか白龍がだれおま状態。
るんるん、と、機嫌良く廊下を歩く。その様子はまるでおもちゃを買って貰うクリスマスの子供みたいだっただろう。いやまだクリスマスには到底早いが。そうして目的の人物か見つかると、俺は大きな声で叫んだ。
「おおい!!白龍!!」
「?アリババ殿。」
今まで鍛練をしていた白龍は俺に呼ばれて振り替える。呼吸は少し乱れていて、頑張ってんな、と少し感動していた。しかし俺は世間話をするためにここに来たわけじゃ、ない。俺は満面の笑みで両手を差し出して、
「トリックオアトリート!!」
白龍の目が点になった。予想していた反応で満足しつつもその表情が余りにも面白くて吹き出した。それに怒られつつも白龍に説明をしようと口を開く。
「白龍、今日は」
「ハロウィン、でしょう?」
「え。」
その口から出るとは思っていなかった言葉が出てきて思わず今度はこちらの目が点になる。白龍はなんだかどこか呆れた様子だった。にしても、なんで、白龍が知っているんだ。
「お前、知ってんのか?」
「ええ、姉に昔話を聞いたことがありますから。」
「お菓子を他人から巻き上げて、貰えない場合は理不尽な制裁をくらう、それが許される日の事でしょう?」と言われて少しがっかりした。っつかどんな言い回しだよ意味はあってるけど。なぁんだという思いでため息をついたらスッと俺の目の前に可愛らしくラッピングされたクッキーが出てきた。出どこをみれば白龍。は、明確に呆れた顔をしていた。
「本当はアラジン殿とモルジアナ殿に渡す筈だったんですが・・・イタズラは困りますから。」
「しかも持参済みかよ・・・」
「えぇ。・・・しかしまさか貴方が貰いに来るとは思いませんでした。普通、貴方はあげる側じゃありませんか?」
そう言われてしまい、うっと苦虫を潰したような顔になる。まあ確かに4人の中では俺は最年長に当たるわけだが。俺だってまだまだ子供なんだよ!!と言えば仕方なさそうに笑われて、その笑顔に胸が高鳴る。くそ、無駄にイケメンな顔しやがって。しかしその高鳴りは次の一言で別のものになってしまった。
「それではアリババ殿、トリックオアトリート。」
「・・・・・・・・・ぅえ?」
至極当然のように言われてしまい戸惑う。まあこの流れで行けばそんな言葉が出てきてもおかしくは無いのだが。生憎、なんと俺は持っていないのだ。先に仕掛けておいて無計画なのはわかっているが。あははーと笑えば察したのかはぁ。とため息をつかれた。
「・・・無いんですね?」
「あぁ!!無い!!」
「そんな開きなおられても・・・」
もうこの際ヤケだ。開きなおって元気良く答えれば呆れてため息をつかれる。俺今日何回白龍にため息つかせたっけ。しかしまぁ、ぶっちゃけ白龍のイタズラなら大した事はしないだろう、と踏んでいたのだ。だからこそあんなに開きなおっていたわけで。だから少し下を向いて考える素振りをしていた白龍がこちらを向いて、その顔がふっと、どこか悪意に満ちた表情になったときに、あれ?と思った。俺は、まさか、とんでもないことをしでかしたんじゃ。
「ご主人様」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・はい?」
一言だけ告げられて間抜けな声が出る。しかしその一言でもわかってしまう。だんだんと青ざめていく俺を白龍はにこやか、には程遠い笑顔で見ていた。
「え、や、あの、白りゅ」
「聞こえませんでしたか?」
有無を言わせない黒い笑みを浮かべられてたじろぐ。っつかおまえそんな顔できんのかよ!!初めて見た表情に戸惑う俺に構わず笑顔の無言で先を急かされる。でも、そんな、無理だ。しかしそんな俺の心の声が届く筈がなく。
「ぁ、う・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
無言でこちらをジッと見つめられてしまえば言いたい事も言える訳がなくて。ああもう。そうして俺は蚊の鳴くような声で呟いた。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・ご、ご主人、様・・・・・・・・・。」
俺の顔は今羞恥で真っ赤になっているだろう。恥ずかしくて涙まで出てきた。しかしそれから何も言わなくなってしまった白龍に不思議に思ってうつ向いていた顔を少し上げて、しかしその数秒前に白龍はくるりと踵を返してしまった。え?と不思議に思っていたら振り返った白龍。の顔を見てギョッとした。だって、その顔には加虐的なものがあって。そして動けない俺に、一言。
「今夜、楽しみにしてますね。」
言われて、思わず座り込んでしまった。ドクドクと心臓の音が煩い。あんな白龍、初めて見た。しかし今の俺には新しい白龍を見つけた事に対する喜びは残念ながら無くて。ようは焦っていた。
「・・・・・っ・・・・・どうしよう。」
だから、気づかなかったんだ。最後の白龍の顔が赤かった事には。
白龍と!!
今夜のディナーにされちゃいました。
黒龍うほぉ