しょーと

□日だまりの中、僕の膝と。
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過去拍手文。学ぱろ


青すぎる空に目を細めた。ちぎれ雲が風に乗って流れ、広大な空に水彩絵の具のように溶けこんでいく。
現在10時38分。よい子の皆さんはよい子にお勉強しているはず、なんだけどなあ。
隣を見れば広がる金色。さらさらと風に揺れるそれは同時に小さな呼吸音と共にかすかに上下していてっつか

「…何でこいつ、ここにいんの?」

隣で眠っている人間が答えるはずもなく、ましてや今は授業中。俺たち以外がこの場にいるわけねーし。
俺が寝ていたのは確か8時30分頃(つまり俺はHRにでさえ出ていないと言うことだ)。おおかたシンドバットセンセー辺りにでも俺を連れてこいと言われて、お人好しにこいつは断るに断れず引き受けちまったってとこかねえ。そんでそのままあったかい日の誘惑に負けておやみなさいっと。

バカなやつ。俺なんかほっときゃ良いのに。

(っつかおめぇ。そろそろ肩いてえンだけど。)

最初の方は根気強く耐えていたものの、そろそろ肩が悲鳴を上げ始めた。っつかよく考えりゃあどーして俺がこんな奴なんかのために耐えなきゃいけねーんだよバカだろ。
とりあえず起こそうと思ってぐいっと肩から頭をどかした。(何故か優しく扱ってしまって無性にいらついた)そしてそのいらいらをはらいせとしてこいつにぶつけるため怒鳴りつけようとして−そのとき頭をてだけで支えていた状態だったのだが−横を向いて、思わず固まってしまった。

そいつの寝顔が、あんまりにも、なんだか、あほみたいで、普段なら大爆笑モンなはずなのに、このときだけは何故か何もいえなかった。言葉がのどで詰まってるみたいな。

(−なんでこいつ、こんなに幸せそうなんだよ。)

閉じられた目とか、半開きの口とか、そこから漏れる吐息とかが妙な色気を−−−まで考えて、俺は愕然とした。

いま、俺は何を考えた?

(色気?こいつが?冗談じゃない。)

ははっと笑い飛ばしてはいるも、そいつに顔を向けられないのも事実で。
開いている片手で顔を覆い「はあ。」とため息をついた。そうしたら理不尽な悔しさがわき上がってきて、それから右手で青を支えてていたことに気がついて、あ。
にやりと自分でも分かるほどに嫌な顔をしてからその頭をゆっくりと自分の膝の上に、置いた。

(起きたらどんなあほ面すんのか)

考えただけで、とても愉快な気分になれた。




日だまりの中、僕の膝と。




屋上に悲鳴が上がったのは、それから一時間後だった。

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