しょーと

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手際良く進むシャーペンの音は最初、それなりの早さでリズム良く聞こえたがだんだんとテンポが遅くなり、しだいには止まってしまう。そうして三秒後、あーもう無理!!と叫んでアリババは匙を投げるが如くシャーペンを放り投げてしまった。カランと寂しい音を立てて転がる可哀想なシャーペンを仕方なしに拾い上げて無理矢理右手に握らせる。

「ほら、さっさと終わらせちまえよ、そんなもん。」
「それが出来たら苦労しねーよ…」

ブーブーと文句を垂れて向かっている先には古典の問題集。それなりに成績がよくて順位も上なアリババだが何故か古典だけは苦手らしく、他の教科は90点代でも古典だけ10点でした、なんてのは良くある事だった。本人曰く、「こんなん日本語じゃねーよ!!」らしい。本を読むのが好きなアリババだから少し意外だった。しかし流石に不味いと思ったのか俺に教えてくれと家まで押し掛けに来たのだがつい先程なのだが、なんせ古典だ。教える事も特になく、質問されたら答える程度で後はアリババの集中力が切れた時に無理矢理やらせるか、勉強をしているアリババを眺めるくらいしかやることがなかった。一応またやりはじめたアリババをまぁ、眺めているわけだが。そこでふと悩んでいるのか眉をひそめて、んんっと唸っている姿を見て何とも言えない気持ちになった。強いて言うならば事情中の事が少し、本当に少し頭を過っただけで。ふっと視線を手元に移せば次はやけに綺麗な手が見える。トン、トンと机を叩く指先は繊細で、ってもうどうすれば良いのかわから
ない。どこを見ても心臓が高鳴ってしまいやるせない気持ちになった。

「あ、なあなあカシム」
「あ?」
「ここなんだけどよ」

すっと教材を差し出されて覗きこむ。が、そこでなんとなしにまた顔の方に視線を戻したら、耳にかかる髪が邪魔なのか鬱陶しそうに耳にかけていて、形のいい耳が晒されていて。アリババの質問なんか耳に入って来なかった。そんな俺を不思議に思ったのか「カシム?」と問いかけてきたアリババがこちらを覗きこんできて、あーこいつはホントに。

「・・・おまえってさあ」
「ん?」

「ほんと、かわいいのな。」そう言えばその顔は真っ赤になってしまって、ばか!!と言う口はわなわなと震え、潤んだ瞳をむけられて、次はギャーギャーと騒いでいる口を塞いだ。

俺をさんざんときめかせた罰だ、ばーか。




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目に良いんだか悪いんだか。


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