しょーと

□一枚剥がれたその下
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「う…っおもっ…」

俺の手の中でぐらぐらと揺れるプリントやら本やらに不安になる。いっそう大きくぐらりと傾いて慌てて立ち止まりよっこいしょなんてじじいくさいかけ声と共にその本達を抱えなおした。たまたま通りかかった廊下でピスティ先生と出くわさなければと失礼なことを考えるももうどうしようも無いのでまたふらふらと歩き出した。
もう22になるのに未だに小学生のアラジン程しかないその小柄な体型で、自分の身長の2倍位の大荷物を抱えているのを見れば駆け寄らない訳にはいかない。しかし笑顔ですべてのプリントをわたして「あとはよろしくね!!」の一言で颯爽と消えた先生にはさすがにイラッとしてしまった。アレでも良い先生なんだが。だれもいない廊下に一人重い荷物を持たされた俺は一つため息をつくもそのため息はどこからか拭いてきた北風に飛ばされてしまった。
おぼつかない足取りで一応前に進むも荷物が邪魔で前が見えないため少々危ない。一歩一歩慎重に歩いていた。が、廊下の曲がり角にさしかかったとき、人影が見えて、あ、まずいと思った時にはもう遅く、その人と思い切りぶつかってしまった。

「うっわ!!」
「っ!?」

盛大に尻餅を着く俺。辺りに散らばるプリントを拾いながら「すみません大丈夫ですか!?」と声をかけて前をみて、固まった。

「じゅ…じゅだる」
「いってーなぁ…って、アリババクンじゃねーの。」

艶のある黒い三つ編みを揺らしながら立ち上がるジュダル。アラジンの知り合いで詳しいことは良く知らないが、あまり良い噂は聞かない問題児。関わらないようにしようと思っていたのだが、何故かあちらからよく突っかかってくるのだ。その度にたちの悪い嫌がらせをしてくる
ので困っている。ちっくしょうよりによって何でこいつなんだ。すると突然目の前に厚みのあるプリントやらの束を差し出されて、出先を見上げて見ればそこにはジュダルがいて。びっくりしつつも抱えている本のうえにのせるように促せば何故か眉間にしわを寄せられた。辺りを見ればもう落ちているプリントは無い。

「え、悪い、ぜんぶ拾ってくれたのか?」
「ん。落とした本人が仕事しなくてどーすんだよ。っつかそれ、一人で持って行く気か?」

眉間にシワを寄せたまま質問をするのはやめてほしい。こくりと頷けばはぁ、とため息を着かれた。なんだよため息をつきたいのはこっちだってのに。すると突然腕への重みが少なくなって、視界が広くなって、それによって見えたのは呆れ顔をしながらプリントやらなんやらを持っているジュダル。ぽかんとしているとジュダルはそのまま歩いてしまって、いまだに固まっている俺に気付いたのか「なんだよまた仕事しねーのか?」といって振り替えった。

「はやくいこーぜ」

不覚にも、ときめいてしまった。



一枚剥がれたその下
意外な一面と、鼓動




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