しょーと

□聖夜に溶ける
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現パロですすみませんひいひい



豪華な料理食べて、ケーキを買って、プレゼントを交換して、そんなクリスマスを恋人と過ごすのは、誰もが一度は夢見る事だと思う。





ざわざわとそれなりに騒がしい正門。これから過ごすであろう恋人達が揃いも揃って手を、腕を絡ませながら門を出ていく様をぼんやりと見つめていた。クリスマスということで浮かれているこの空気に、自分もそれなりに侵されていた。冬特有の刺すような寒さにかじかむ手をポケットに突っ込みつつまだかなぁと見てみれば待ち焦がれていた褐色肌が見えて自分でもわかってしまうほどには喜んでしまった。そのまま声をかけようとしたところで、止まる。3人の女の人達が彼にかけよって、呼び止めていた。多分今夜の誘いでも貰っているのだろう、女の人達の顔はどこか媚を売っているように見えて、また、そう見えてしまった自分に嫌気がさした。あぁ、このままあっちに行ってしまうのだろうか。いや、たしかに約束はしていないが、彼なら「大人数で過ごすほうが楽しいだろ」なんて言いかねない。そう考えてしまう自分になんとなく悲しくなってはぁ、とため息をついた。必然的にうつむいてしまっていると突然頬に暖かい物が触れて、すっとんきょうな声が出た。慌てて見てみればニヤニヤと笑っている、先輩。

「せ、先輩、驚かさないでくださいよ」
「ははっ悪い悪い。お前がしけた面してたがらなァ」

先輩の後ろをみれば、先程の女の人達はいなくて、嬉しかった。ガキかと思うも先輩の腕をひっぱって「今日はウチでパーティーやりましょう」と提案すると快くのってくれた。

「断ったんですね、」
「んあ?」
「あの、女の人達の。」

「嬉しかったです」なんて最低な事を言ったら先輩はキョトンとしてから「あったりまえだろー?」と笑いながらわしゃわしゃと俺の髪を撫でてきた。触れられた頭がほんのり幸せな熱を帯びる。

「だって今日は"恋人と過ごす"クリスマスなんだからな」

悪戯っぽく笑った先輩につられて一緒に笑った



テーブルの上にあったそれなりの量の料理はもう綺麗に無くなっていて、辺りにいつもはあるはずのビールの空き缶はなく、代わりにテーブルの上には空の二本のワインボトルがあった。三本目を開けている先輩をぼーっと見つめながらまた自身のワイングラスを傾けぐいっと一気にあおった。クリスマスだからといってたまには良い物飲もうと高いワインを買った。喉を通るアルコールが心地よい。窓の外を先程見ればもう真っ暗で、終電ももう無い時間だろうからあぁこれはとまりになるなと考えていた。

「おいアリババぁ、大丈夫か?」
「ら、いじょうぶ、れしゅ・・・」
「ダメだなこりゃ。」

大丈夫と言いつつ情けない返事になってしまう。飲みすぎて舌が回らなくなってきた。あきれた顔をしている先輩は俺のグラスを取り上げ「もう寝ろ」と言ってきた。

「ええぇ〜・・・」
「お前、このままだとマジで潰れんぞ」
「ダメですよう先輩ぃぃ・・・」

「まだ、プレゼント渡してませんんん」と駄々をこねればはいはいとたしなめるように言われてから横抱きにされた。暖かい温もりにすりよってしまう。そうしてベッドに下ろされても、先輩の首に腕を回したまま。ほら離せと言われても離す気は毛頭もなく、そのままグイと引き寄せて唇を合わせた。ふれあうだけのキスをしてから先輩の顔を押しやれば簡単に離れる。目の前の顔は随分と間抜けな事になっている。もう回りきったアルコールとか、クリスマスの雰囲気とかに背中を押されてか、俺は笑いながら言った。

「ぷれぜんとは、おれですよ、せんぱい」

目を見開いた先輩はそのあと直ぐに目線をそらして軽く舌打ちをする。それからギシリと音を立ててベッドに上がってきた先輩に俺は満足そうに微笑んだ。






聖夜に溶ける

幸せな夜。








ということで、同率一位のシャルアリでした!!大学設定乙。







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