しょーと

□にゃんにゃんにゃん!!
1ページ/1ページ







「・・・え?あ、え?」
「・・・。」

気まずい沈黙、というよりも動揺して何も言葉が出ないといった方が正しいかもしれない。不機嫌そうな顔、小さな舌打ちが聞こえてきたがそんなものはどうでも良くて、というか頭のそれの方に、目がいってしまう。頭のそれ、とは何時ものドレッドを指している訳ではなくて、そこについている(生えているといったほうが正しいのだろうか)それであって。ひくひくと動くそれはどう見ても本物っつか

「え、え、カシムって実は猫だったの?」
「んな訳ねえだろアホ」




始まりは、今日の朝だった

「え?カシムが居ない?」
「そうなんだ、何処にも居ないんだよ」

心配そうに眉を潜めるアラジンの頭を撫でつつ考えた。朝から誰もカシムを見ていない。それは何時も一緒に寝ている俺たちも同じことで、朝起きた時には俺の隣に一人分のスペースが空いていた。(まあ何時ものことなのだが。)先に行って飯でも喰ってるのだろうと考えていたがどうやら違うらしい。ちなみに今は午後一時。俺達が起きたのは七時程なのでかれこれ六時間カシムは姿を眩ませている。はて、ではカシムはいったい何処に消えてしまったのだろうか。モルジアナの鼻を使っても何故か見当たらない。とりあえず手分けして探そうということになり俺達は別れた。居ない、ということは見つかりたくない、もしくは何か危ない目にあっている、例えば拐われてしまっあのかと思ったがシンドバッドさん達の話だと結界に異常は見られなかったらしい。となれば考えてられるのは前者の方。つまり意図的に隠れている可能性がたかい。ならばこちらも全力で探させて貰おうと頭を捻った。アイツの性格からして町には出ていないはずだ。つまりは王宮の中、静かな場所。それに加えモルジアナの鼻が使えないとなればカシムの匂いが消える、強い何かの匂いの漂う場所なのだろう。となれば選択肢は絞り込めた。踵を返して向かう先は、シンドリアの森。
ザクザクと草を踏みしめる音が響いた。それと共にギャアギャアと鳴く鳥の声がする。見たことのない草を掻き分けているとふわりと甘いような香りがした。モルジアナでは無いがその香りを辿っていくと一帯に紫色の小さな花が咲いている場所。この香りは、ジャスミンだろう。そしてそこに見慣れた姿を見つけた。見つけたの、だが。ぽかんと口が開いたままになってしまう。あちらも気づいたようで驚きの眼差しを向けてきたが、驚いているのはこちらである

なぜならそう、本来人間にはついていないはずのそれが、今目の前にいる親友についているのだから。



「・・・成る程。要は朝起きたときにはもうその猫耳がついていたと。」
「柄にもなく焦っちまって。流石にこんな間抜けな姿見せたくねえよ」

ぼりぼりと頭をかくカシムの頭についているのは紛れもない猫耳。話すたびにひくりひくりと動くそれに自然と目がひかれ、引き寄せられるようにそこに手が伸びた。我慢できずにふにゅりと掴むとそれはふわふわとしていて、柔らかい。

「・・・おいなにしてんだよ」
「いや気になって・・・」

ユラリと背後で動く尻尾も気になるが掴まれると痛そうなので耳だけで我慢した。柔らかい、可愛い。そう呟けばあからさまに嫌そうな顔をして俺の手をはたいた名残惜しい声を出せば睨まれたので渋々手を下ろす。そこでカシムは「なんでここがわかった」とぶっきらぼうに聞いてきた。

「いや、色々推測したんだよ。で、森に入ったらジャスミンの香りがしたから」
「ジャスミン?・・・ああ、これか。」
「え?」

どうやらカシムはこのジャスミンの香りにつられてきた訳では無いらしい。じゃあ何にと聞く前に脇に咲いている花の存在に気づく。白い小さな花。これは

「・・・木天寥?」
「モクテンリョウ?」
「あれだよ、用はマタタビ。」

成る程、カシムは森に隠れようとしたらこのマタタビの香りにつられてここに来たのかそうかそうか。と、ここまで考えてはた、と気づく。確かマタタビには猫科の動物を興奮させる効果があったのでは。カシムは人だが今のカシムは猫であって。さあ、と血の気が引いた気がした。それと同時に「あぁ、」と納得したような声が聞こえて(何に納得したのかなんて知りたくもない)あわてて距離を置こうにももう遅い。背中に緩い衝撃がはしり、土の香りが強くなった。視界には木々の木漏れ日をバックにしたカシムの顔が。ニヤリ、と口許を歪めたカシムに嫌な予感しかしない。

「成る程な、さっきから妙にムラムラすると思ったら。」
「ムラッ・・・!?」

口から飛び出たとんでもない爆弾発言に思わず声を失う。と、下半身のほうになんか固いものが当たる感触がして、顔が青くなったのがわかった。

「なあアリババくんよぉ」
「え、ちょ、ま」

「猫の発情期、付き合ってくれるよな?」


にゃんにゃんにゃん!!

こんな猫可愛くない!!










という馬鹿な猫の日ネタでした。只のやおいである上に曖昧な知識すみませんorz←
攻めの猫化も好きなんです!!←←←





[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ