秘密警察特殊部隊

□第五章〜動き出すモノたちへの気持ち〜
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それからというもの桜の生活は一変してしまった。
不健康な生活は少し治ったもののやはり顔はやつれ気味。
それに追い討ちをかけるようにスミレと昴は仲良くなっていくばかり。
だんだん気持ちも後ろ向きになっていく。
怖くなっていく………
気持ちの声は出さない限り誰にも届かない。
そう知っているのに、誰にも頼ろうとしない。
それはなぜか?
そんな桜を紅葉はいつも、心配そうにながめていた。

「ねぇ、桜ちゃん」

いつものショタの入った声とは少し大人びた声に少々驚きながらも桜は振り向いた。

「ぁ、はい?」

こういうことならちょっとヤバイ任務とかそういうのかな、と思った桜には本当に意外なる話題が降りかかる。

「最近、総長と仲良くないね」
「え?えぇ、まぁ」
「それってさ、スミレちゃんが来たから?」
「はあ、、それもあるっちゃありますけど」
「あは、やっぱり」

専属観察型の紅葉にはやはりほとんどがバレていた。
これでも桜はかなりカバーをうまくしているほうだが見抜かれる人には見抜かれるらしい。
そのことに少し悔しさを感じながらも話た。

「でも……私自身そんなに困ってはいませんし……」
「困ってる、とかそういう問題なの?」
「ん〜……でも…スミレちゃんと仲良くしてることは嬉しいこーーーー」

そう言いかけた時、ふいに両手をつかまれた。
顔が近い。
今にも、そう。今にも……キスしてしまいそうな………それほどに近い。

「観察型の隊長をなめるな」
「…………」
「わかってんだよ、嫉妬心で埋め尽くされてるくせに」

………………。
やはり。
この人(紅葉)のキャラであるショタは偽装だ。
みなにそう思わせているだけでなにもかもが違う。

「………いや、でも………」
「うるせェな……口塞ぐぞ?」
「…………はい…」

なんていうか、ドS。
そうは思いながらも、しみじみに感じる。
きっとこれがこの人の優しさ。

「だから余計なこと言ってねェで相談しろ、いいな?」
「はい」

「よぉしっ!じゃ、僕は仕事に戻るね!」

まるで別人。
ショタの仮面の先はこんなんなのか。
怖い人だ……。


「桜……………頑張れ」

そう呟いたのは少年か否、青年か。
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