単刀直入に言おう。









俺は
神様が嫌いだ。




























もう一度言う、俺は神様が嫌いだ。





或いは理不尽な世界が嫌いだ。








この世に、俺の幸せはない。













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ある晴れた秋の昼の頃だった。
気ダルげに働く両足が地を踏む度鮮やかな金髪が、長い睫毛が、音無く揺れた。
憂鬱げな空気を纏い乍歩くは
体育館を通り過ぎ、門へ向かう途中。
そんな様子でも彼の回りは黄色い声で溢れていた。
でも其の声に答える様子は本人にはない。
これがモデルと言う仕事をしている結果、

非日常的なファンの愛熱の殺到にうんざりする日々が続いて最早
自分の安否を確認する又は守ることで精一杯、
青春というものを味わっていない。





青春





中学生と言う年頃、
衝動的に青春を謳歌したいと言う気持ちは誰にでも振り分けられ、
一人一人が心内に秘めるものだと存じる。

青春を謳歌する為には、部活親友恋愛勉強行事、
これ等が必須条件と当てはまるのでないだろうか、
それが事実と言うならば、
彼黄瀬涼太には程遠い望みになるのでないだろうかと思った。




黄瀬の運動神経は他の人間より余程レベルが高いといえる、
何故ならば一度見ればその相手の動きがコピーできる所謂模倣と呼ばれることができるからである。
故成績だって毎回ペーパーのことを無視ったら
オールAは望めるとまで断言できる。

だがそれが理由で部活を続けられない
詳しく言うなら何処にでもエースになれるものだから
興味心が続かない、飽きるのだ
野球もサッカーも、全部全部。





まぁ、青春を謳歌するためには部活が絶対と必要なわけではない、
恋愛はちゃんと間に合っている、ファンだって…
と言いたいところだが所詮ファンなんて顔で群がってきているようなもの、
少々面倒くさい気持ちや気ダルい気持ちも黄瀬のなかにあったものだから
これを恋愛とは認められない、と思う。
他に勉学だってできない訳じゃないか出来るわけでもない、
親友だって友達はいるが親友と断言できる人物は存在しない。




どうやら明らかに出遅れた人間となってしまっていた。






代わり映えのない日常が又時計の針が揺れる度過ぎて行く、
細めた双眸が捉えるのは昨日一昨日と同じ光景、
部活中の騒がしい声、
下校合図の放送の声、
風紀について指摘する門に立つ先生、
なにも、何も変わらないのは




俺なのだろうか、
目に見えるけど触れられない。







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