「いた…っ」
「おい大丈夫かよ…まじかお前、足の骨折れてんじゃねーか」
「小石に躓いただけで」
フィンクスとコルトピが驚いたように声を上げた。
るちがしゃがんで足を押さえた。
茶色いブーツから透き通るような白い肌が現れた。
シャルが慌てたようにマチを連れてきた。
「内側は念糸じゃ無理だね」
「そんなこと言わずにさ、頼むよマチ」
「あたしだって治せりゃ治したいよ。でもるちは特別なんだから…ねぇ、団長」
俺の名を呼ぶとフロアに集まっている団員が一斉にこちらを見る。
瓦礫から音もなく飛び下りると、るちの足を手にとった。
手を当てると見る見るうちに折れた骨が完治していく。
スゥ――
「さすが団長」
シャルがいつもの調子で笑った。
コートを翻して定位置に戻ろうとするとるちが嬉しそうに声を掛けた。
「ありがとう、クロロ」
「それよりるち、その分じゃ今日の外出は無理そうだな」
「嫌だ!」
「全身の骨が折れて歩けなくなっても知らないぞ」
「大丈夫だもん」
「るち」
「う……」
軽く覇気をかけるとるちが不満そうに唸った。
「まぁまぁ、団長だってるちの心配してるんだよ」
慌ててフォローするシャルを尻目にるちは涙を流した。
「泣くなって、今度俺が連れてってやるから」
フィンクスがぎこちなく笑ってなるべく優しく頭を撫でた。
それを見た団長の何人かはあからさまに頬をヒクつかせた。
「フィンクス…」
るちは抱きついてジャージに涙と鼻水をなすりつけていた。
「今!今がいい!」
「だぁー!わぁった連れて行ってやるよ」
「やったー!」
「駄目だ」
「なんでよ!」
なんで?
こっちが聞きたい。
なんで俺の言うことが聞けない?
なんで俺の言う通りにしない?
なんで――なんで――
「クロロ?」
なんで、俺の物にならない?