夢小説

□セイッ!
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葉月くんは愉しそうに笑った。
本当に愉しそうに。
僕と会話している相手は本当に葉月くんなのかというしごく当たり前なことにさえ疑問を感じた。
それくらい葉月くんは僕を見ていなかった。
僕の瞳を。
「市川とか菊池はどうかな?男って結構ゲーム好きだもんな」
「…どうだろう、二人とゲームの話したことないから…」
「ふーん?ま、後で聞くよ」
葉月くんはにこやかに笑ってゲームをし出した。
もちろん僕はただ佇むことしか出来ずに、彼を見ていた。
ゲームに興味のない僕は驚かされた。
最近のゲームはずいぶん小型化して起動音もうるさくない。
「これ最新機種なんだけどさ、映像も音質もかなりリアルなんだぜ?」
かなり聞きたくない情報だった。
ぐ お お お
う゛ あ あ あ っ
ぎ ゃ あ あ あ
極端な話、葉月くんが本当に誰かを殺めているようだった。
「やべーテンション上がるー」
上がるのは君のテンションだけだよ。
一刻も早く立ち去りたい衝動に駆られながらも僕はその場に立っていた、
「ねーねーみてみて一ノ瀬!!」
「…え?」
嬉しそうにPSPの画面を見せる。
そこに映された映像は画面いっぱいに映った大量の死体。
全身血だらけで、見るも無残だった。
「なにが楽しいって、やっぱり人殺すのが一番の快感だよね」


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