夢小説

□KTNー枯れちまった涙ー
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そういえば、最近泣いてねぇな。
虐待されんのは日常茶飯事だから何も思わなくなった。
靴を履くのと同じで、それが当たり前になっていたからだ。
「…はよ」
「おはようるい」
「親父は?」
「パチンコ行ったわ」
「朝からかよ…ったくしょうがねぇクソ親父だな」
「昨日は大丈夫だった?痣も残ったみたいだし」
「痣なんてねぇ日ねぇよ。それより、母さんは大丈夫だった?」
「ええ…大丈夫よ」
「そっか」
「るいごめんなさい。私があの人を選んだばっかりにあなたに辛い思いをさせて…」
「別に。クソ親父のこと、嫌いじゃないし」
「るい…ありがとう」
「うん」
涙なんか出なくていい。
悲しくなんかないから。
涙なんか流しても何の解決策にならないことくらい、分かってるから。
だって母さんが、俺の分まで泣いてくれるから。
痛いのは我慢できる。
少しくらい熱いのも、罵倒だって全然平気。
歪んでるけど視界はちゃんと見える。


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