夢小説

□嬉しくないよ、君に言われたって
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「無理…」
本当は背中がジンジンと痛んで呼吸しにくいけど無理やり声を絞り出した。
突き飛ばされた経験なんてない。
俺よりガタイいい奴なんて部活動に入ってる奴しかいないし、突き飛ばされた経験ないから。
それに俺より小柄な葉月くんがいとも簡単に俺を突き飛ばすなんて
「無理?どういうこと」
「そのまま…俺はまだ死にたくないってこと」
痛む背中を押さえて立ち上がる。
そんな俺を葉月くんはなんで痛がっているのか全く不思議なように俺を見た。
「へぇ、そうなんだー」
ヒョイとPSPを取り出し、ゲームをやりだす。
理不尽なんだけど。
ため息を吐いて息を整える。
「まあ菊池くんはゲーマーじゃないから分からないだろうけど、最近のゲーム機ってね」
「悪いけどその話は興味ないから」
葉月くんの話を制止して話始めると、なんて気持ちのいい。
「…ふぅんーまあいいけど」
「あ、菊池くん」
「一ノ瀬くん」
止める間もなく葉月くんが一ノ瀬くんの腹を殴った。
「……ぐっは、」
「一ノ瀬くん!」
駆け寄ると苦しそうに腹を押さえてその場にしゃがみ込んだ。
俺でも痛かったんだ、一ノ瀬くんが俺より力が弱いからじゃないけどそれなりにダメージは大きいはずだ。
「気持ち悪くない?」
「うん…大丈夫」
「一ノ瀬くん大丈夫?これがゲームだったら容易に避けられただろうに」
「いい加減にしなよ」
「え?」
「俺たちあんたに何かした?違うならただの暇つぶし?どうでもいいいんだけど俺たちを巻き込むな」
葉月くんが嬉しそうに笑った。
薄っぺらな笑顔で。
「うん。ごめんね、ちょっと悪ふざけし過ぎたかな?目的なら菊池くんにあるんだ」
「は?」
そう言ってPSPを仕舞う。
「菊池くんは前に頑張るの止めたって言ってたからさ、熱くなる所見てみたくって」
「…………」
聞いてたのか。
それよりも一ノ瀬くんを保健室に連れて行かないと。
遠慮する一ノ瀬くんの肩を持ち上げて支える。
「菊池くん、安心しな君はちゃんと変わったよ。一ノ瀬くんと市川くんのおかげかな」
「うるさい」
一度も振り向かないで、保健室へ向かった。


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