創作小説

□ユメウラナイ
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ちいさいころからゆめうらないがすきだった。
ゆめうらないはじぶんでもきづいていないいまのきもちをおしえてくれる。
だからおれはまいにちおきるとそのひみたゆめをゆっくりぶんしょうにおこす。
ゆめはいちにちでふくすうみることもあったしなんにもみないひもあった。
きもちがこうようするゆめもあったしこわくてめざめのわるいゆめをみたこともあった。
とにかくおれはゆめうらないにじんせいをさゆうされていた。
「お兄ちゃんおそーい」
「梨花(リカ)、おはよう」
朝、リビングに行くと妹の梨花がトーストをかじっていた。
向かいの席にはトーストとコーヒーが用意されていて、俺は座った。
梨花が思い出したかのようにオレンジジュースを飲み干した。
「そういえば育都(イクト)さんが外で待ってるよ」
「また?」
「本当仲いいよねお兄ちゃんと育都さん、なんかそういうのうらやましい……あ、遅刻する!お兄ちゃん後よろしく!」
梨花は慌ただしく食器を流しに出して鞄を持って出て行った。
俺はもう少し早く起きればいいのにとトーストを頬張った。

食器を洗って家を出ると、案の定育都が地べたに座って寝ていた。
とんとん、と肩を突っつくとガバッと顔を上げてにぃっと笑った。
「おはよう、琉架(ルカ)!」
「おはよう……毎朝いいのに」
「なんで?俺琉架心配だもん」
琉架は目を離すとすぐどっか行くからな、そう言うと繋いでいる手に力が入った。
俺より約10センチも背の高い育都を見上げると、眩しいくらいの青空が広がっていた。
「俺いないと、琉架また死ぬって言い出すだろ?だから高校出たら一緒に住もう?いい物件見つけたから」
「…育都は働くの?」
「うん。やっぱ給料いいトコ」
「ふーん」
「琉架は大学?」
「うん」
「琉架頭いいもんな」
こう切り出すと、惚気に聞こえるかもしれないが育都は俺が好き過ぎる。
前はどちらかというと素っ気ない方だった。
俺が育都に嫌いと言われ、屋上から飛び降りようとしたら全力で後ろに引っ張られた。
その時の育都のカオはきっと忘れられない。
脂汗を掻いて目を極限まで見開かせてから俺をギュッときつく抱きしめて言った。
「「一生離れないから」」


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