創作小説

□お前ムカつく!
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「ただいま〜!」
「うえっ!?ちょ、弟くん帰ってきたじゃんかっ」
「…まずい今すぐ服を着ろ」
事の最中に麗緒(レオ)の弟が帰ってきた。
慌てて服を着るも、焦って上手く着れない。
黒のタンクトップだけ着て布団に潜る。
「もう上だけでいい?」
「ばか、普通逆だろうが」
「兄ちゃん、ちょっといい?」
「うわーっ!待て待て待て」
ガチャ
俺は叫んで阻止した、がそれも虚しくドアはゆっくり開けられた。
「兄ちゃん?」
「お帰り」
「うん。えっと、辞書貸して明日使うんだ」
「分かった」
弟くんがドアを開ける直前にベッドから抜け出して布団の上に座った麗緒は、本棚から辞書を取り出して弟に渡した。
「返すのいつでもいいから」
「うん、ありがとう」
弟くんはベッドに上半身だけ出してなぜかタンクトップの俺を不審そうに見て出ていった。
「…あっぶねー」
「お前なんでタンクトップなんだよっ!」
出ていったのを確認すると物凄い剣幕で俺を睨んだ。
「だから急いでたの!しょうがねーじゃんつーか逆に上裸だったらおかしいから!」
「んなもんベッドに入ってたら分かんねーだろ!」
「おかしいだろ!なんで友達んちのベッドに入るんだよ」
「…そんなのセックスするために決まってんじゃん」
それは俺達の場合だろ?
そう言おうとしたけどきっと麗緒が悲しむから止めた。
俺だってこんなこと、お前に言いたくないんだ。
「大人になっても、お前俺のこと好き?」
「さあ、知らん」
麗緒はベッドに入って、俺に背を向けた。
むくれたのかガキか。
「でもお前は俺のこと好きだな」
「はあ?なんじゃそりゃ」
いきなりこっちを向いた。
「だって」
ちゅ、と触れるだけのキスをされた。
「顔真っ赤」
背を向けると窓に映った俺の顔はトマトみたいに真っ赤だった。


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