黒バス短編

□春への扉
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「っ……諏佐…っ…」

今吉は泣いた。

今吉の涙が枯れるまで、俺は抱きしめていた。

「……諏佐」

「…なんだ今吉」

「すまん…」

「謝るなよ」

「けど…」

「いいから、気にすんな」

「………」

空はもうすっかり暗くなっていて、夕暮れ時にも増して肌寒くなってきた。

「なぁ諏佐…」

今吉は俺の胸元に顔をうずめながら問いかける。

「ワシとバスケ出来て、楽しかったか?」

「…あぁ、3年間すげー楽しかったよ」

「ワシ…諏佐とこれからも、一緒にバスケ、やりたい…」

今吉のかすれた声には少しだけ熱がこもっていた。

「…俺も、…お前と…今吉とバスケやりたい」

今吉は笑った。

「今までありがとう…これからも、よろしゅうな」

「あぁ、よろしく頼む」

俺はそう言って今吉にキスをした。

「っ…ん…」

「あと、恋人としてもよろしくな」

「ちょ…恥ずかしいわ、自分」

「照れてんのか?今吉」

「そんなんちゃうわアホッ!ほら、もう戻んで…勉強せな」

「あぁ…そうだな」

心の冬が終わりを告げる。

季節は巡り、春。

俺と今吉は無事に同じ大学に入り、新たな地でまたバスケを始めた。




春への扉
(また一緒にバスケが出来るな)
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