黒バス短編
□今を生きる僕たちは
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僕は走る。
今どこに居るかも分からない青峰くんに向かって走る。
彼の居そうな場所を巡るけれど、僕の知っている彼の居そうな場所は、中学生の時から止まったままで。
僕の知らない青峰くんの存在に悲しみを覚えた。
「青峰くん…」
もちろん、返事は無い。
青峰くんに会いたい。
もう一度、青峰くんとバスケがしたい。
好きだと言いたい。
青峰くん、青峰くん、青峰くん―。
好きです、青峰くん。
もしもきみがいいと言ってくれるならきみともう1度バスケがしたい。
もっと一緒に居たかった。
もっとちゃんと説得して、練習を一緒にしたかった。
青峰くんとバスケをしなくなって1年以上経っているのに、あのパスを出すときの感覚を忘れられない。
もしも僕が今此処で、青峰くんに会えるのなら、
僕は今すぐきみに今の気持ちを伝えたい。
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空がだんだんと暗くなっていくのを、眺めていた。
ふらふら歩いて歩き続けて、もう数時間経つ。
青峰くんはどこにも居ない。
「青峰くん、どこに居るんですか・・・」
ふいにストバスのある方から、ゴールにボールが入る音が聞こえてきた。
ドリブルする音と、規則性のないボールの入る音。
僕はストバスのある方へ、走っていった。