文置き場

□過去拍手文
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  蒲公英
 
 
 
 
未来から来たと言うあの娘…。


諸外国の密偵と疑うには…
ちょっと無理がある。
しかし晋作と渡り合う度胸は大したものだと思う。



不思議な子だな…と思っていたあの娘は……



いつの間にか、春になると可愛く咲き誇るたんぽぽの様に、私の心を暖かく癒やしてくれる存在となっていた。




「ちょっと…止めて下さい、晋作さん!」

「うるさい!嫁に抱き付いて何が悪い!」

「嫁じゃあありません!」


………やれやれ。
また始まった様だね。

晋作はああいった態度だが、あの娘を大切にしているが解る。

そしてあの娘も………
晋作に向ける笑顔は、他の者に比べても……輝きが違う。


だから…………
………先の見えない晋作には、いつまでもあの娘に寄り添って欲しい気持ちも真実。



――――しかし……



たんぽぽの綿毛のように、気付けば私の心にフワフワ舞い降りた君に恋をしている気持ちも本当。




「桂さぁーん!晋作さんをどうにかして下さいよー」

「小五郎!俺達の邪魔したら切腹だからな?!」


―――――やれやれ………
私の部屋に、じゃれながらなだれ込む二人に、思わず溜め息と笑みが漏れる。



私が唯一、男として惚れ込んだ晋作なら…………
きっとあの娘を大切にするだろう。



「晋作、女子をそんな荒っぽく追い掛ける物じゃないよ」

「桂さぁーん…」

「こっ…小五郎!俺の嫁に気安く触るな!!」


彼女を背後に隠すように庇う。



…………私は二人を何からも守るから。
これくらいは許せ、晋作。



――彼女にそっと恋する位は………
 
 
 
 
 
(了)
 
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