神堂春
□赤く染まる君が好き
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「さぁ今夜も【宇治抹茶の新婚さんおいでやす!】の時間がやって来たで〜」
「今夜の新婚さんはつい先日入籍しはったあのビッグカップルに来てもらったで」
「ほな登場してもらいましょか!
会場の皆も一緒にタイトルコール頼むで!せーの」
「「新婚さんおいでやすー!!」」
番組のタイトルコールがされると同時にゲスト登場の音楽が流れ、目の前の閉じられていた扉がゆっくりと開くと観客の拍手と悲鳴にも似た歓声に迎えられる。
今日私は春と一緒に宇治抹茶のお2人が司会を務める番組に出演することになった。
春の事務所はこういったバラエティー番組への出演は良しとしないのに…
どうしてなのかわからないけど、今こうして新婚さんを紹介する番組に来ていた。
「本日の新婚さんはJADEの神堂春さんと青葉ちゃん夫婦に来てもらったで」
「神堂さんに青葉ちゃん今日はよろしゅうな!」
「よろしくお願いします!」
「それにしても…とうとう青葉ちゃんが人妻になってしまったなぁ…」
秘かに狙っとったのにと慎之介さんが冗談を言えば、すぐに隣にいる松田さんが慎之介さんにツッコミとして頭を叩いて笑いをとっている。
そんな光景を見ながら、相変わらずだなぁと思っていると、隣にいる春が私の手を握りしめた。
「春?」
私の手を握る春の手は何時もと変わらず優しいのに、覗き見る春の表情は読めなくて…
(もしかして…さっきの慎之介さんの言葉気にしてる?)
そんな事を思いながら慎之介さんたちの質問に受け答えをしていると…
「やっぱり新婚さんやからお互いが仕事に出る時は『いってらっしゃい』言うてチューなんてしてるん?青葉ちゃん?」
「えっ?!」
「あほなこと聞くなや〜
そんなん当たり前やん!な、青葉ちゃん?」
「えー…っと……」
(確かにしてる…。けど…正直に答えた方が良いのかな…
いやいや!そんなの恥ずかしすぎて言えないよ!)
「お!青葉ちゃん顔真っ赤にするゆーことはしてるんやな!
でもここはちゃんと青葉ちゃんの口から聞きたいわ〜」
そんなお2人の質問にどう答えて良いのか狼狽えていると、それまであまり質問に答えていなかった春がゆっくりと口を開いた。
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