両どなりの怪物くん
□§STORY1§
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【雫side】
私の名前は水谷雫。
松陽高校1年。
私の両隣の席はいつも空いている。
右隣の席の吉田くんは入学初日に流血事件を起こして以来、一度も学校に来ていない。
そして左隣の席の雨木さんは学校には来ているらしいが教室にはほとんど顔を出さない。
「おい、吉田ハルって上級生を病院送りにしたんだろ」
「血溜まりのなかで笑ってたらしいよ」
「雨木ひなたって中学のとき、あの吉田ハルとやりあって勝ったんだってよ!」
「吉田は雨木だけには頭が上がらないらしい」
彼、吉田ハルと彼女、雨木ひなたは幻の新入生として今もっとも話題の二人だ。
吉田くんは一月前、上級生を病院送りにし、話題となっている。
現場には今もなお、凄惨な事件の爪跡がくっきりとのこっている。
そして雨木さんはその吉田ハルと中学のときにやりあって勝ったと話題だ。
その本人は全く授業にも出ず、そこら辺で寝ているのをよく見かける。
こんな噂があるため、みんなあまり近づこうとしない。
まぁ、そんなことは私にはどうでもいいことだった。
カリカリ…
放課後、ほとんどの生徒がさっさと帰っていき残っているのはほんの数人。
私は勉強をするため残ってテキストを解いていた。
「新しい参考書欲しいなぁ…」
何故こんなに勉強をするのか。
私には夢がある。
≪年収一千万≫
この目標を達成するために目下、私の興味の対象は微分積分。
他人に構う暇などない。
「水谷さん」
「…なんですか、サエコ先生」
仕方なく勉強をやめ振り向くと、担任のサエコ先生と先生に襟首を掴まれ不機嫌そうな例の噂の雨木さんがいた。
「ちょっとお願いがあるんだけど♪」
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